さまざまなデータを貯める“データレイク”
新製品の2つめのIsilon新版について、アイシロン事業本部 部長の倉橋秀則氏は、大きな特徴としてストレージを“データレイク(Data Lake)”と呼ばれる単一の領域として利用できるようにしたと説明する。
データレイクは、構造化か非構造化かデータの形に関係なく、使うかどうかを考慮せずに活用できる状態で貯めておくことが重要という考え方だ。2014年になってからHadoopのユーザー企業を中心に広まっている。

EMCジャパン アイシロン事業本部 部長 倉橋秀則氏
新しいIsilionでは、データレイク内のファイルに対して、これまでもFTP、NFS、SMB、HTTP、RESTなどでアクセスできたが、新たにSMBアクセスを高速化する「SMBマルチチャネル」に対応。年末までにHadoopの標準のファイルシステムである「HDFS 2.3」に対応する。加えて、オープンソースのIaaS環境構築管理ソフト「OpenStack」のストレージシステムのコンポーネントである「Swift」に対応する予定だ。
「2013年は売り上げ10億ドルを超えるなど好調だ。4700社を超える顧客のうち1100社は昨年新たに獲得した。非構造化データが爆発的に増えているが、アナリティクス、クラウドなど用途ごとにサイロ化しやすい。データレイクはこれらを統合するものだ」(倉橋氏)
OSである「OneFS」が7.1.1にバージョンアップしたことで「SmartFlash」と呼ばれるフラッシュをリードキャッシュとして利用する機能が加わった。単一クラスタで1Pバイトまでキャッシュを拡張可能で、スループット向上に寄与するという。
プラットフォームとしては、ハイトランザクション向け「Isilon S210」とハイスループット向け「Isilon X410」の2つが新たに加わった。価格は個別見積もり。7月31日から提供されている。

EMCジャパン システムズエンジニアリング本部 プロダクトソリューション統括部 エマージングテクノロジー製品担当 シニアシステムズエンジニア 笹沼伸行氏
書き込めるスナップショットに対応
システムズエンジニアリング本部の笹沼伸行氏によると、XtremIOは提供開始から半年で1億ドルの売り上げ、40Pバイト以上の出荷実績だという。
XtremIOの強化ポイントは、容量を半分の5Pバイトにし価格を抑えて導入しやすくした「Starter X-Brick」をラインアップに追加したこと。SSDを拡張するだけで容量が拡張でき、完全版の「10TB X-Brick」に無停止でアップグレードできる。
また、書き込み可能なスナップショットに対応した。スナップショットは、インメモリで行われ、データをコピーすることがないため、効率と性能を両立できるという。スペースは、新しいユニークなデータブロックのためにだけ消費される。保存済みデータの暗号化にも対応した。ワイヤースピードのパフォーマンスでAES-256暗号化が可能という。
今後追加される機能も発表された。その1つである、常時インライン圧縮という機能では、従来比で最大4倍の容量を提供できるようになるという。
EMCソフトウェアとの連携も高められる。ストレージリソース管理の「EMC ViPR SRM Suite」やストレージ統合管理製品「ViPR Software Defined Storageプラットフォーム」、統合型製品「EMC VSPEX」での利用をサポートする。OpenStackのブロックストレージコンポーネントである「Cinder」もサポートしている。
税別価格は2672万円から。7月末から提供されているが、インライン圧縮やパフォーマンス強化などの機能は7~9月中の提供を予定している。