Red HatはLinuxベンダーというイメージから、クラウドコンピューティングの王者に向けて変換期のまっただ中にある。最高経営責任者(CEO)のJim Whitehurst氏は2011年、Platform as a Service(PaaS)がRed Hatの将来だと私に語ってくれた。そのWhitehurst氏が米国時間9月22日、ブログにてLinuxからOpenStackに向けてのシフトを表明した。
Whitehurst氏は以下のように記している。
現在、われわれはクライアント/サーバ型からクラウド/モバイル型へのシフトのまっただ中にいる。これは20年に1度の大きな変化だ。歴史が示すように、このような変化の早期に新しい時代の標準を設定したものが勝者となる--クライアント/サーバの”Wintel”(WindowsとIntel)と同じだ。Red Hatは大きなチャンスを目の前にしている--エンタープライズオープンソース分野でリーダーであるように、エンタープライズクラウドのリーダーになるというチャンスだ。競争は激しく、企業は自社のクラウドのニーズに対して複数の選択肢から選ぶことになるだろう。だが、新しい時代においてオープンソースがデフォルトの選択肢になり、Red Hatは企業のクラウドインフラ全体のプロバイダとして選ばれるチャンスが待っている。
Linux業界でWhitehurst氏のような見解を示しているリーダーはほかにもいる。CanonicalとCanonicalが開発するLinux「Ubuntu」の創始者であるMark Shuttleworth氏がその1人だ。Shuttleworth氏のブログからは、氏がUbuntuの将来は、スマートフォンやタブレットよりもクラウドにあると考えていることがわかる。
Whitehurst氏やShuttleworth氏がそう考えるのも無理はない。「Microsoft Azure」を除くとすべてのクラウドプラットフォームはLinuxとオープンソースソフトウェアを土台としているからだ。たとえば、Amazonのクラウドサービスは「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」上で動いている。
そのため両氏ともに、クラウドを重視するあまりにLinuxを軽視するつもりはないようだ。Shuttleworth氏はUbuntuはOpenStack上で動くLinux OSのリーダーであると指摘しているし、Whitehurst氏も「RHELはFortune 500企業の90%以上で利用されており、世界最高のOSといえる」と述べている。
Linux業界のリーダー達はLinuxとオープンソースのクラウド技術を土台としたITこそが将来だと展望している。Whitehurst氏の予想通りに事が進めば、Red Hatはそこで独占的立場になることだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。