クレハは、既存のウェブアプリケーションをタブレット向けに改修せずに利用できるシステムを導入した。タブレットを用いて、いつでもどこでも安全に電子稟議や人事管理など既存の社内業務システムを利用できるリモートアクセス環境を構築。ワークスタイル変革を進めている。システムを構築した富士通が10月8日に発表した。
同社では約10年前から営業部門を中心とした外出先でのモバイルノートPCの活用や、スマートフォンでの社内メールや予定表の確認など、モバイル活用によるワークスタイル変革を推進してきた。こうした取り組みの中、近年、外出先でより手軽に利用できるタブレットによる電子稟議や人事管理など既存の社内業務システム利用のニーズが高まっていたという。
しかし、これらの社内システムはInternet Explorer対応のPC向けウェブアプリケーションで、異なるブラウザを利用するタブレットではアプリケーションの改修が必要だった。その開発や動作検証の工数や費用、さらにはOSのバージョンアップごとに発生する継続的なカスタマイズ対応などの困難が見込まれた。また、重要な業務データを保護するためのセキュリティ対策も検討する必要があった。
こうした課題に対しクレハは、富士通の「FUJITSU Managed Infrastructure Service FENICS IIユニバーサルコネクト アプリケーションブリッジサービス」を採用。役員や幹部社員を中心に利用を開始した。
システム概要図(富士通提供)
導入されたサービスの概要は以下の通り。
・既存ウェブアプリケーションとの高い親和性
富士通のデータセンター内にある仮想ウェブブラウザ(Internet Explorer)で表示したユーザー企業のウェブアプリケーションの画面を、タブレット内の専用アプリケーション「Viewer for FENICS」(App StoreやGoogle Play ストアからダウンロード・インストールして利用する、本サービス専用クライアントアプリ)へ画面イメージとして転送し、表示・遠隔操作を可能とする。
ActiveXなどの各種プラグインに対応し、既存のウェブアプリケーションを全く改修せずにそのままスマートデバイスで活用できる。また、ExcelやPowerPointなどのドキュメントファイルの閲覧も可能。
・セキュリティ
接続時の認証として、ID認証に加え、端末の機体認証を照合し、第三者が持ち込んだ不正なデバイスや、あらかじめ許可されていないデバイスからの接続を防ぐ。また、富士通のデータセンターから転送されてきた画像イメージを表示、操作する仕組みにより、端末に業務データを残さず、万が一の紛失時も情報漏えいの心配が少ない。
・モバイル環境における快適な操作性
富士通研究所が開発した画面転送の操作応答性能を向上させる高速表示技術「RVEC」(Remote Virtual Environment Computing)を採用することで、高速レスポンスを実現し業務の操作性が向上。
モバイル環境においても、ウェブ画面やドキュメント閲覧時のスクロールはもちろん、動画コンテンツやFLASHアニメーションなどのリッチコンテンツもストレスなく表現できる。また、スマートデバイスに標準で搭載されたブラウザと同様に、画面のピンチインピンチアウトで細かいオブジェクトも簡単にタッチ操作が可能。
これにより、クレハでは既存の業務システムをどのデバイスからでもセキュアに利用できる環境を短期間に整備することができた。現在、同社の役員および幹部社員数十名が、移動時や出張先からでもタブレットで各種申請内容の確認、承認することで、タイムリーな意思決定や業務スピードの向上を実現しているという。