船井電機は、これまで使ってきたオンプレミス型の特許管理システムを刷新、新たにSaaS型特許管理クラウドサービスを導入し、運用を開始した。サービスを提供する富士通が10月22日、発表した。
導入したのは、富士通がSaaS型特許管理クラウドサービスとして提供する「FUJITSU ビジネスアプリケーション ATMS PROPAS」。ATMS PROPASは、企業と特許事務所で個別に管理している特許管理データをクラウド基盤に統合し、双方向からデータの更新などができるデータリンク機能により、情報共有や伝達を効率化する。
船井電機では、これまでオンプレミス型の特許管理システムで知財を管理、特許事務所と紙でやり取りしており、情報伝達のタイムラグやシステムへの二重入力による作業のムダが発生していた。ATMS PROPAS導入により、従来システムにおける課題を解決すると同時に、クラウド活用により短期間、低コストでシステムを構築することができたという。
システム概要図(富士通提供)
具体的には、ATMS PROPASを同社と取引のある国内特許事務所に展開することで、データリンク機能によりクラウド上で企業と特許事務所のデータを統合した。ATMS PROPASを通じて互いに入力したデータをリアルタイムに更新、確認でき、特許、意匠、商標の管理や、特許の届出、出願、権利消滅までの一連の手続きにおいて、双方でのダブルチェックや正確な情報のやり取りを実現。
また、これまで紙でやりとりしていた運用を電子化することで、知財業務を効率化するとともに、特許データの管理負荷を軽減できる。知財業務を正確かつ迅速化できるようになったという。
従来のオンプレミス型システムで同等環境を構築するには、特許事務所のような外部からのアクセスを可能にするための専用サーバを企業内に設置する必要があり、かつ厳しいセキュリティ要件を満たすために専用のセキュリティ装置を導入するなど高額な初期費用が必要になるとのこと。
ATMS PROPASでは、クラウド上で特許事務所との連携を実現するため、新たな設備を必要とせず、約3分の1のコストで、また短期間で特許事務所との接続環境を構築できたとしている。