中部5県で通信サービスを提供する通信事業者の中部テレコミュニケーションは、会計業務システムを「Oracle E-Business Suite(EBS)R12」にアップグレードして再構築した。プロジェクトを支援したTISと日本オラクルが11月10日に発表した。
中部テレコミュニケーションでは、会計業務を支えてきた旧版のEBSが運用開始から5年経過し、決算早期化への機能対応などが課題となっていたことから、2013年のハードウェア保守切れを契機として会計業務システムの再構築を決定した。プロジェクトは、現行の管理会計業務に対して機能的な変更がないことを前提として進められた。新たな基盤は「業務ユーザーの利便性と満足度向上」「業務の効率化とスピード・品質の向上」「他システムとの連携強化」などのポイントを重視して検討したという。
その結果、高い機能性や柔軟性を持ち、既存資産も有効活用できる点を評価して、要件を満たすEBS R12へのアップグレードが選ばれた。売上情報、人事給与情報の自動仕訳による仕訳伝票発行、入力業務の効率化、伝票起票作業削減などの業務効率化、将来の国際会計基準(IFRS)への対応を見据え、複数元帳と複数会計基準の仕訳生成エンジンである「Oracle Financial Accounting Hub(FAH)」もあわせて導入した。
プロジェクトでは、会計業務システムの刷新と並行して、異なるベンダーによる購買システムなどの連携するシステムの新規構築が同時進行したため、一連のプロジェクト全体のマネジメントを支援するPMO(Project Management Office)の設置が必要不可欠となった。
中部テレコミュニケーションは、大規模なシステムインテグレーションプロジェクトに関する多くの経験から蓄積されたプロジェクト管理手法や管理ツール持ち、EBS R12の導入やアップグレード実績が豊富なTISを、会計業務システムの刷新のインテグレーター、一連のプロジェクトの全体管理を担当するPMOとして選定した。
今回のアップグレードで中部テレコミュニケーションでは、計算書の出力処理時間が半分に圧縮されるなど、経理業務全体の短縮による効率化を実現しているという。