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松岡功の一言もの申す

「自らの変革」を売り物にするIBMの憂鬱

松岡功

2014-11-12 12:00

 「データ/アナリティクス」「クラウド」「エンゲージメント」の3分野を戦略事業と位置付けるIBM。これらを活用した根幹となる売り物は「自らの変革」だ。が、そこには憂鬱な事情もある。

米IBM幹部3氏が異口同音に発したメッセージ

 「私たちは今、大きな変革期を迎えている。しかもその変革は破壊と革新が同時に起きている。この激動の時代を企業はどのように生き抜いていくか。IBMはそれを支援できるように努めたい」

 日本IBM社長で11月から米国本社のシニアバイスプレジデント(SVP)も務めるMartin Jetter(マーティン・イェッター)氏は、日本IBMが11月10日に都内ホテルで開いたIBMのグローバル事業戦略に関する記者説明会でこう強調した。

 会見には、米IBMのコーポレートストラテジー担当であるKen Keverian(ケン・ケヴァリアン)氏と、エンタープライズトランスフォーメーション担当であるLinda Sanford(リンダ・サンフォード)氏の両SVPも登壇。Keverian氏が事業戦略の重点施策を、Sanford氏がIBM自身の変革への取り組みを説明した。


記者会見に臨む米IBM SVPの3氏。(左から)コーポレートストラテジー担当のKen Keverian氏、
エンタープライズトランスフォーメーション担当のLinda Sanford氏、日本IBM社長のMartin Jetter氏

 会見内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは筆者が印象深く感じた点について述べたい。結論から言うと、各氏とも異口同音に強調していたのが、「IBMは自らの変革で得た経験やノウハウを提供することで、顧客の変革に役立ちたい」というメッセージだったことだ。

 IBMは今、「データ/アナリティクス」「クラウド」「エンゲージメント」の3分野を戦略事業と位置付けているが、これらの施策を説明したKeverian氏だけでなく、Sanford氏もこの3分野に基づいた形で社内の変革への取り組みを説明。まさに「自らの変革」を事業に反映させていく姿勢を鮮明に打ち出した両氏のプレゼンテーションだった。

IBMは変革を業績に結びつけることができるか

 その姿勢を明確に示す両氏の次のような発言もあった。

 「顧客の変革を力強く支援できるようにするためにも、まずはIBM自身がさらなるスピードと俊敏性を発揮して不断の変革を推進していかなければならない。そこで得た経験やノウハウを生かしていくことこそが、今もっとも顧客から求められている」(Keverian氏)

 「事業環境やITそのものが大きな変革期を迎えている今、企業としてどのように対応していけばよいかというロールモデルを、顧客はIBMに強く求めている。そうした期待に応えるためにも、IBMは変革し続けなければならない。データ/アナリティクスやクラウド、エンゲージメントを活用して、具体的にどう変革していくのか。社内での経験やノウハウをもとにベストプラクティスを示していきたい」(Sanford氏)

 両氏の発言で注目されるのは、自らの変革を事業に反映することが「顧客から強く求められている」と強調していることだ。相当の手応えを感じているのだろう。

 ただ、こうした取り組みは、IBM自身にとって憂鬱を招くものでもあるのではないか。というのは、企業としての目的は変革した結果にあるからだ。つまりは業績への貢献である。その点、IBMは直近まで10四半期連続の減収と厳しい状態が続いている。これでは“ロールモデル”にも説得力がない。

 Keverian氏は業績について、「事業では重点施策を明確に打ち出し、社内の変革も進んでいる。業績は今後、上向いてくると確信している」を語ったが、現状ではIBM自身の変革は道半ばと言わざるを得ない。この憂鬱が果たして払拭されるか。顧客に対して確かな説得力を持つためにも、IBMは今が正念場である。

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