野村総合研究所(NRI)は12月4日、国内を中心とするICT(情報通信技術)関連の携帯電話やテレビ、3Dプリンタなどデバイス市場について、2020年度までの動向と規模の予測を発表した。ウェアラブル、3Dプリンタなどが成長市場という。
スマートフォンやフィーチャーフォン(従来の携帯電話端末)など「携帯電話市場」は、アジア地域を中心とした携帯電話契約数の増加と、スマートフォンの需要拡大により年平均成長率(CAGR)2.7%で成長、2015年度の世界のスマートフォンを含む端末の販売台数は20億台に達すると予測した。今後も、新興国における低価格スマートフォンの販売台数の増加が市場をけん引する見通しだ。
日本市場では、フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行の鈍化や買い替えサイクルの長期化に伴い、携帯電話端末の販売台数は徐々に減少し、CAGR3.2%のマイナスで推移、4000万台規模から3000万台前半にまで落ち込むとしている。
5インチ以上の「タブレット端末、電子書籍端末」は、2020年には世界で3億8000万台、日本では1300万台が販売され、PCの出荷台数を上回ると予測した。タブレット端末は、先進国ではPCやノートPCの置き換えとして、新興国では1台目のPCとして普及が進んでいるが、スマートフォンの大型化などにより、成長率を急速に鈍化しているという。
持ち運べ、他の端末との通信機能を備える「ウェアラブル端末」は、市場の起爆剤と思われたAppleの「Apple Watch」、Googleの「Google Glass」などブランド力のある端末の投入の遅れや、販売力のある携帯キャリアの参入の遅れにより、2014年の国内販売台数は44万台にとどまる見込みとしたが、その後CAGR52.6%で市場が拡大し、2020年には556万台に達すると予想した。
3Dプリンタの利用者は2014年の13万人から83万人とCAGR36.1%で伸びるとしている。
4Kやネット対応テレビなど「超高精細テレビ」の保有世帯数は、2014年度末の166万世帯から、テレビの買い替え需要と4Kテレビへの買い替えを主な理由に、2020年度末には約2000万世帯まで拡大。同様に、ネット対応の「インターネットテレビ」の保有世帯数は、2014年度末の1831万世帯から、より高機能なテレビ端末への買い替えを主な理由に、2020年度末には約3000万世帯まで拡大。そのうち、ネット上のコンテンツを取得するための制御信号を組み込むことで番組ごとのコンテンツを画面上に表示できる「次世代スマートテレビ」は、2020年度末に約1300万世帯にまで拡大するとした。
2014年のコンパクトデジタルカメラの市場は、販売台数ベースで前年比約75%と減少し、さらに2020年の販売台数は3000万台強と、2011年の市場のピーク時に比べて4分の1にまで減少すると予測した。