アマゾン データ サービス ジャパンは10月22日、「Amazon AppStream」の記者説明会を都内で開催した。AppStreamは、クラウド上のGPU搭載EC2インスタンス上で2D/3Dレンダリングを行い、ストリーミング配信を可能にするプラットフォーム。2013年11月に発表された。今年3月に米国で正式公開されて以降、10月から日本でも提供が開始されたばかり。
Amazon.comアプリケーションサービス担当ディレクターのColin Davis氏
レンダリングをクラウド上で実行するため、クライアント側のデバイスに直接配信することができる。
記者説明会には、来日中のAmazon.comアプリケーションサービス担当ディレクターのColin Davis氏が出席。AppStreamの技術説明や、最新の導入事例などを紹介した。
エンドユーザーのハードを気にせず
Davis氏によると、AppStreamの主なメリット5つ。まず1点目として挙げたのは“デバイスの制約の排除”。クラウド側でレンダリングすることで、エンドユーザーはハードウェアのスペックによらず、3DグラフィックスやHD動画などのリッチコンテンツを利用できる。
これにより、Davis氏は「ユーザーはハイエンドなハードを買う必要がなくなる。また、エンドユーザーのハードウェア環境に依存しないということは、より多くのオーディエンスを獲得できるということだ」とメリットを語った。
さらに、「これまでのようにユーザーは大きなファイルをダウンロードしたり、インストールしたりする必要がなく、すぐにアプリケーションを利用できる」点を強調。700MBのアプリケーションにクライアント側に求められる容量はわずか5MBとのことだ。
その他、最新のアプリケーションをクラウド側に公開しておけば、ユーザー側は更新を意識することなく、常にアクセス時の最新版を利用できるのもメリット。もちろん、アプリケーションがクライアントデバイス側にダウンロードされないため、クラウド上でセキュアに管理できることや、認証サービスの導入により利用者制限ができるなどセキュリティ面での向上も期待できる。
AppStreamがサポートしているプラットフォームは、ウィンドウズ、Mac、iOS、Android、Kindle Fire。これに加えて、近くChromebook/Chromeブラウザーにも近く対応することが既に発表されている。
この点における開発者側のメリットとしてDavis氏は「クラウド側のカスタマイズで可能なので、開発時間を大いに短縮できる」とし、他にもAppStream側で必要なリソースの増減を管理できるため、オートスケールでサービスを提供できる点を挙げ、インフラではなくアプリケーションに注力して開発ができる利点を示した。
また、AppStreamの利用シーンとして、医療画像をはじめ、家電、映像制作、ビデオゲームなどの分野で導入されている複数の事例を紹介。日本では、日産自動車の整備士向けのスキル向上トレーニングシステムに既に導入されてるといい、今後はグローバルや他の領域でも利用拡大を検討していく意向とのことだ。
一方で、AppStreamの利用領域について「どういうセグメントに適用できるのかはまだまだ学習中の段階」とDavis氏。しかし、「開発者からは非常に注目されている」と述べ、今後利用事例が増え、認知度が高まっていくことに自信を見せた。
利用シーンの1つとして挙がったCADのデザイン現場