レッドハットは12月10日、Windows ServerからRed Hat Enterprise Linux Server（RHEL）への移行を検討する企業に対し、マイグレーション支援サービスの提供を開始すると発表した。13社のパートナーとの協業により、Windows Server 2003の2015年7月のサポート終了に備え、Windows Server 2003からオープンソースのクラウド基盤への移行サービスを提供する。
レッドハットによると、現在顧客のクラウド採用が加速しており、クラウド基盤の標準技術として広く利用されているオープンソースソフトウェア（OSS）が、エンタープライズシステムの基盤の標準として採用されているという。
2015年7月にWindows Server 2003のサポートが終了するタイミングで、Windows ServerからOSSベースのクラウド基盤への移行を検討したいという顧客が増えており、2013年9月に発足したパートナー各社との協業により既存システムのクラウド化などを推進する「Red Hat OSS Integration Center」での相談も増加しているとした。
代表取締役社長 廣川裕司氏
レッドハット 代表取締役社長 廣川裕司氏は「システムのクラウド化が進むが、クラウドプラットフォームにLinuxを採用する企業は75％にも達する。2013年の年平均13％という成長を維持できれば、2020年にはWindowsのシェアを逆転できるほど人気が高い。メインフレーム並みの性能があるモデルがあり、コンテナアークテクチャもすでに使える」と説明。Windows Server 2003からの乗り換えプログラムに自信をのぞかせた。
常務執行役員 パートナーアライアンス営業統括本部長の古舘正清氏はWindows Serverのユーザーが直面することの多い課題として、サポート切れの対応やコスト、クラウド移行への自由度の低さなどを挙げた。「Windows Server 2003が2015年7月に、2016年にはSQL Server 2005、2017年には Windows Vistaがサポート切れになる予定だ。われわれの調査ではWindows ServerユーザーがOSSに乗り換えることで、34％総所有コスト（TCO）が削減できるというリサーチ結果も出ている」（古舘氏）
レッドハットではOSS Integration Centerのサービスを拡充し、Windows ServerからRHELへの移行支援サービスも提供をするとしている。
移行では、ワークショップ開催からはじめ、設計や構築から移行支援まで、さまざまな支援サービスを提供するという。
ウェブサーバ移行支援サービスでは、Microsoft Internet Information Services（IIS） からオープンソースのApache HTTP ServerやRed Hat JBoss Middlewareへ移行する。
ファイルサーバ移行支援サービスでは、WindowsのファイルサーバからオープンソースのSamba 4に移行する。
Active Directory移行支援サービスでも、Active DirectoryサーバからオープンソースのSamba 4に移行する。
データベース移行支援サービスでは、WindowsのデータベースからオープンソースのPostgreSQLなどに移行する。
今回のプランに、協業および賛同するパートナーは、NECソリューションイノベータ、SCSK、SRA OSS、オープンソースソリューションテクノロジ、サイオステクノロジー、ソフトバンク コマース＆サービス、デル、富士ソフト、富士通、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ、三菱電機インフォメーションシステムズ、ユニアデックス、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズの13社。協業によるサービスはOSS Integration Centerを通じて顧客に提供するという。
代表の廣川氏は「この半年くらいでクラウドに抵抗のない顧客が特に増加したと実感している。MicrosoftのSatya Nadella 最高経営責任者（CEO）が、Azureで使われているOSの20％がLinuxであることを認めているほどOSS関連が伸びている。すべてのアプリケーションをOSS Cloudにし、コンテナーを核にしたアプリケーションエコシステムを推進したい」とアピールしていた。
