製品ライフサイクル管理(PLM)ソフトウェアを手掛けるPTCジャパンは12月9日、東京都内でユーザー企業やパートナー企業などを対象としたイベント「PTC Live Tech Forum 2014 東京」を開催した。
「ヒト・モノ・システムがつながる新しい製造業の未来に向けて」と題された同イベントで強調されたのは、「IoT(Internet of Things)の普及による製造業でのビジネスモデルのパラダイムシフト」と、製品ライフサイクルの包括的なビジョンである「クローズドループ ライフサイクル マネジメントの重要性」である。
PTC IoT/SLM部門エグゼクティブバイスプレジデント Rob Gremley氏
経済効果は3Dプリンタの10倍
IoT市場は急速に拡大している。米IDCの調査によると、2013年でのIoTの市場規模は1兆9000億ドルだった。コンサルティング企業のMcKinsey Global Instituteは、IoTの経済効果が2025年までに6兆2000億ドル程度に達すると予測している。
基調講演に登壇した米国PTCでIoT/SLM(サービスライフサイクル管理)部門のエグゼクティブバイスプレジデントを務めるRob Gremley氏は「IoT市場は単なるモノ(Things)だけでなく、ネットワークインフラ、ソフトウェア開発、セキュリティソリューション、分析ツールなど多岐に渡る。IoTの経済効果は3Dプリンタの10倍で、クラウドコンピューティング(の経済効果)よりも大きい」と、そのインパクトを強調した。
CPUとネットワークインフラの向上で、常にネットワークに接続している「スマートコネクテッドプロダクト」の数は急激に増加している。Gremley氏は「モノ(Things)は『物理的な製品』からソフトウェア制御が加わった『スマート製品』へ、そして、M2MのメッシュやP2P、ハブ&スポークといった常時接続性を持つ『スマートコネクテッドプロダクト』へと進化を遂げた。これにより、今までテスト環境でしか収集できなかった情報が得られるようになっている。このメリットは大きい」と語る。
「モノ」から「スマートコネクテッドプロダクト」への進化でさまざまな要素技術が追加された
PTCではスマートコネクテッドプロダクトがもたらす価値として、「監視」「制御」「最適化」「自動化(自立型)」を挙げている。例えば、医療機器のペースメーカーを遠隔監視したり、人が行きにくい場所にある機械を遠隔監視、制御したりできるといったことだ。さらに、風力発電機器など、風力の状況に応じてエネルギーを蓄積できるように最適化すれば、効率よく蓄電できる。
中でも自動化(自立型)は「スマートコネクテッドプロダクトの最新形」だという。Gremley氏はその好例として、米Boston Engineeringが開発している小型自動潜水艦を紹介した。これは、魚の形をした潜水ロボットで、海中のコンディションを判断しながら目的地に移動したり、海中の危険物を検知したりするものだ。
Gremley氏は、「スマートコネクテッドプロダクトは“モノ”が能動的にデータを提供してくれる。こうしたモノ同士が相互接続されれば、そこから生み出される価値はさらに大きくなり、新たなビジネスが創出される」とIoT活用の可能性を説いた。