企業のIT環境は2015年にどのように変化していくのか。主要IT企業の動きは1つの鍵を握る。各社が発表した年頭所感を集めた。
日本マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏
日本マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏
マイクロソフトでは、2014年2月に3代目の最高経営責任者(CEO)にSatya Nadellaが就任し、多種多様なモバイルデバイスとクラウドサービスが普及した「モバイルファースト、クラウドファースト」の世界において、「新生マイクロソフト」として再出発し、新CEOの下での目指すべき方向性として、2014年7月にマイクロソフトの「コア」と「世界観」を社内外に向けて示しました。「モバイルファースト、クラウドファースト」の世界で、人々の生活や仕事、ビジネスにおける高いプロダクティビティと、それを実現するプラットフォームを提供していく「プロダクティビティ&プラットフォーム カンパニー」として、当社は全社的な「変革」を加速しています。
また、ビジネスの分野でも、Officeのマルチプラットフォーム対応(iOSやAndroid対応)、9インチ以下のデバイス向けにWindowsライセンスの無償提供、Microsoft Azureにおけるオープンソースコミュニティとのさらなる連携、Visual Studio Communityの開始、そして、IBM、セールスフォース・ドットコム、Dropboxなど、従来競合と言われてきた企業とのアライアンスなど、「変革」を象徴するような新しい取り組みが次々と発表されました。
2015年には、新しいデバイスOS「Windows 10」の提供が予定されています。Windows 10は、従来のPCだけでなく、タブレット、スマートフォン、Xbox、組み込みデバイスなど、さまざまな形状のデバイスに対応した全く新しいOSとして現在開発が進んでいます。Windows 10の投入を、パートナー企業も含めたWindowsエコシステム全体をさらに拡げる好機ととらえ、取り組んでまいります。
7月には、多くの企業システムで利用いただいた Windows Server 2003のサポートを終了させていただきますが、最新サーバ環境への移行推進とともに、クラウドサービスの活用はその移行先の有力な選択肢の1つとなります。継続した「日本品質の追求」と国内データセンターの活用、さまざまなパートナーとの連携も拡大し、2015年は企業の企業情報システムのクラウド化、近代化を一層支援してまいります。
NEC 代表取締役社長 遠藤信博氏
NEC 代表取締役社長 遠藤信博氏
2015年は、2013年に発表した「2015中期経営計画」の最終年であり、2013年の準備段階、2014年の実績を積み上げる段階を経て、今回の中期経営計画で取り組んできたことの成果を収穫し、かつ次のステップへの成長を期する年です。
社会ソリューション事業における注力領域と定めた「ビッグデータ」「クラウド」「SDN」「セーフティ」などについて、さまざまな納入実績や実証実験を積み上げています。2015年は、このような実績の積み重ねから具体的な成果が得られるよう、社員1人ひとりが目標の実現に向けた意識を持って行動していくことを期待します。
世界経済は引き続き堅調な成長が続くと見られ、われわれの社会ソリューション事業が見据える、ICT(情報通信技術)で高度化された社会インフラに対するニーズは、引き続き拡大します。国内においても、アベノミクスの「第三の矢」である成長戦略「日本再興戦略」が加速し、企業、公共部門の投資や輸出の回復を通じた、中長期的な経済成長トレンドに向かうと期待します。