BYODの効果を過剰に売り込む一部のベンダーの主張(筆者のメールボックスにはそんなメールが溢れている)を本気にすれば、あとからツケが回ってくることになる。もちろん、BYODが2015年中に消え去ることはないだろう。しかし、より多くの企業が、CYODか、CYODとBYODのハイブリッドモデルに移行すると予想される。
企業向けアプリストアが普及
BMC SoftwareのCTOであるJason Frye氏に話を聞いたとき、同氏は顧客の間で企業向けアプリストアに対する関心が高まっていると話していた。筆者自身も、2014年の第4四半期にこの傾向が出てきているのを目にしている。
Frye氏は、「自分たちのアプリを、闇雲に一般のよく使われるアプリストアで公開するのではなく、よりコントロールされ、可能であればより安全な形で顧客に届ける方法を模索している、多くのITリーダーと議論をした」と述べている。
同氏は今後、B2Bアプリの交換をサポートするための、拡張された企業向けアプリストアが使われるようになると考えている。一方筆者は、2015年にはモバイルファースト、CYOD、BYODといった取り組みを直接的にサポートするために、企業向けアプリストアが利用されるようになるとみている。
MicrosoftとGoogleが低価格MDM・EMM市場を取り込む
2014年には、「Office 365」と「Google Apps for Work」に、モバイルデバイス管理(MDM)の機能や、エンタープライズモバイル管理(EMM)機能が次々と追加された。
GoogleとMicrosoftはMDM・EMMの低価格・中価格市場に進出している。その背景には、小規模な組織や、より予算に厳しい組織が、重荷を抱えているIT部門にさらに新しいプラットフォームを担わせるよりも、ある程度知っているソリューションを使う傾向があるということがある。
このトレンドは、この分野を狙っている新興企業には問題となるかもしれないが、一方で2015年にはMDM・EMM関連の買収が進むかも知れない。
「Apple Pay」がBYODの恩恵を受ける
新しく手に入れた「iPhone 6」で実際にApple Payを使ってみて初めて、harmon.ieの最高経営責任者(CEO)Yaacov Cohen氏が述べていた、Apple PayがBYODを揺るがす可能性について理解することができた。仕事柄、新しいものを何でも使ってみる必要があるため、Apple Payの便利さは体感しているが、筆者には普段新しい技術を試すときに感じる期待感のようなものはなかった。
その理由の1つは、iTunesのプレイリストから音楽のセンスがないことを会社に知られたり、大事な瞬間を記録するために写真を撮ったりできないだけでなく、Apple Payを使うことで、個人的な財務情報までが企業のデータと混ざってしまう危険を感じるからかもしれない。
最後に
2014年は、企業のモバイル利用とBYODが進展した年になった。
2015年には、AppleとIBMのパートナーシップや、EMM・MDM関連の買収のような大きなニュースがさらに飛び込んでくるだろうし、今後1年間でモバイルファースト、CYOD、BYODのイノベーションはさらに進むだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。