米国時間1月27日に四半期(2014年10~12月期)決算を発表するAppleに関して、少し気になったコラムをふたつほど紹介する。
その1つはGigaOM創業者Om Malikが年頭に公開していたもの(ベテランIT系ジャーナリストのMalikは、2014年GigaOMを卒業し、今はベンチャーキャピタリストの立場で業界を見ている人物)。
iPhone, the behemoth--Om Malik
「iPhoneという怪物」と題されたこのコラムで、Malikはまず大手投資銀行のUBSが発表したレポートを紹介している。2014年10~12月期のiPhone販売台数が6930万台(前年度比34%増)に達し、その売り上げだけで434億ドルにもなる可能性があるという内容のレポートだ。
この434億ドルという四半期売り上げの膨大さを示すために、MalikはIntelやCisco Systemsの年間売り上げを引き合いに出している。Intelの2014年度の推定売り上げは550億ドル超、またCiscoのそれは460億ドル超だそうだ。
またMalikは、中国におけるChina Mobileとの取引(2014年第1四半期にiPhoneの取り扱いを開始)がようやく実を結び始めたようだとするUBSの指摘――「iPhone販売台数全体の約35%が中国市場におけるもの(前年の22%から大幅増加)」にも注目している。さらに2014年半ばから中国市場などで飛ぶ鳥を落とす勢いとされるXiaomiにも言及し、「同社の売り上げが2014年度通年でも120億ドル、スマートフォン販売台数は5600万台に過ぎない」としている。
FortuneのPhilip Elmer-DeWittが毎回集計している各社のアナリストの予想(プロが20人、アマチュアが15人)では、10~12月期の売上合計が683億ドル(前年同期比21%増)となっている。Appleが前回の決算発表時に示していた売り上げのガイダンスは635億~665億ドル。仮に分母を683億ドルとすると、434億ドルは63.5%くらいになる計算だ。
Handicapping Apple's earnings--Fortune
Appleが発表していた1年前の業績は、全体の売り上げが約576億ドル、iPhoneは販売台数が5100万台で売り上げは325億ドルだった。
Apple Reports First Quarter Results
Malikの指摘で面白いのは「全体の売上の伸びとiPhoneのそれがほぼイコール」というところ。つまり、
- 全体の売り上げ:683億ドル-576億ドル=107億ドル
- iPhoneの売り上げ:434億ドル-325億ドル=109億ドル
で、単にiPhone依存が顕著になっているだけでなく、そのほかの製品やサービスはほとんど売り上げが増加していないのではないか、ということだ。
これに続けてMalikは、Apple製品の最も重要な売り物(訴求点)である「ユーザー経験」の部分が最近どうも怪しくなっている、などと指摘。Instapaper(一部で人気の高いブックマークサービス/アプリ)開発者のMarco Armentがしていた「OS Xに関するユーザー経験の規準の低下、クオリティの劣化(“declining standards and fraying quality of the OS X experience.”)」という発言(ブログ記事)を紹介した上で、「Appleはインターネット/クラウドに関する取り組みがいまひとつ」「ネットワーク経由の同期などが必要なアプリも、これまでの結果はまちまち(“its spotty record around apps that need a networked experience.”)」という自分の考えを述べている。