アプリ改修は基本不要--Oracle DB互換の「Tibero」はどこまで使えるか

齋藤公二 (インサイト)

2015-02-02 14:59

 ユニアデックスと日本ティーマックスソフトは1月29日、日本ティーマックスソフトが展開するデータベース製品「Tibero RDBMS」の互換技術検証に関する説明会を開催。同製品が、「Oracle Database」特有のSQLやデータ型、独自表記、PL/SQLと互換性があり、移行先候補として有力であることを訴えた。

 Tibero RDBMSは、韓国TmaxSoftが開発販売するリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)製品。2003年6月にリリースされ、2008年11月リリースのTibero 4.0では、世界で2番めに共有ディスクベースのクラスタ技術に対応。野村證券のメインフレームマイグレーションへの適用、米金融業への導入など実績を積んできた。

 2011年10月リリースのTibero 5.0では、クラスタリング技術を強化し、Oracle RAC同等の機能という「TAC(Tibero Active Cluster)」を提供した。現在、Tibero 6.0のリリースに向けて、機能拡張を進めている段階だ。

早水光祥
日本ティーマックスソフト 代表取締役社長 早水光祥氏
羅鐘弼氏
日本ティーマックスソフト 副社長 羅鐘弼氏

 日本ティーマックスソフト代表取締役社長の早水光祥(はやみず・みつよし)氏は、Tiberoの国内展開について「2000年に日本法人を設立し、メインフレームマイグレーション向けソフトOpenFrameを展開してきた。Tiberoは、戦略製品として2014年に市場に投入した製品。ユニアデックスとのパートナリング契約で2015年は大幅な売上拡大を目指す」と説明した。

 技術を統括する副社長の羅鐘弼(ら・じょんぴる)氏は、Tiberoのアーキテクチャについて「マルチプロセス、マルチスレッドアーキテクチャを採用し、安定性と性能を確保している。また、標準開発インターフェースを使った開発の効率化、他社DBMS製品やサードパーティツールとの互換性にも優れている」と解説した。

 羅氏は、Oracle DBとTibero、オープンソースソフトウェア(OSS)のDBを比較したうえで、「Tiberoは、Oracle DBと機能、互換性が高く、オプション機能の一部については標準機能として提供している。パブリッククラウドへの適応度、クラウド環境でのコア単位での従量課金、固定のサポート料、要望への柔軟で迅速な対応といった点では、Oracle DBよりも優れる」とアピールした。

 日本オラクルは2011年11月、Oracle Premier Support料金を毎年上がるシステムに切り替えた。ライセンス単価×22%にくわえ数パーセントずつ加算されるため、Oracle DBからの移行を検討する企業が増えたとされる。公表されているライセンス単価は、Oracle Database Enterprise Editionが1プロセッサあたり516万3000円。

 Tibero RDBMS 5.0 Enterprise Editionは、1プロセッサあたり335万5900円だ。日本ティーマックスソフトによると、実際にサポート料の変更を理由として、Oracle DBからTiberoに移行した企業は国内でも複数存在しているという。

 「Tiberoのサポート料は年一律で、ライセンス料やオプション利用料を含めると、およそ半分のコストで利用できる。Oracle DB用に開発されたアプリケーションをそのまま動かすことができるので、移行コストは最小限で済む」(羅氏)

 実際にどのような互換性があるかについては、ユニアデックスが検証結果を報告した。今回紹介された項目としては、SQLの互換性、同時実行制御とロックの粒度に関する互換性、バックアップ/リカバリ機能の互換性、可用性対応、ツール・ユーティリティの互換性の5つとなる。

 SQLの互換性については、データ型、独自表記、PL/SQLが修正せずコンパイル、実行可能かを検証した。たとえば、データ型では、独自に拡張されたVARCHAR2、TIMESTAMP、ROWIDなどがあり、独自表記には、外部結合のOUTER JOINを(+)と表記することなどがあるが、これらはいずれもTiberoでサポートできていたという。

 次の同時実行制御とロックの粒度については、Tiberoでは、Oracle DBと同じ読み取り一貫性の機構「MVCC」方式を採用しており、Oracle DBと同じ「完全行レベルロック」を実現しているとした。他DBMSへの移行では、読み取り方式やロック粒度の違いで性能に影響が出るが、同一の仕組みであるため、アプリケーションの改修は基本的に不要だという。

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