Amazonは、2015年第1四半期より「Amazon Web Services」(AWS)の売上高を別に計上するという。この動きにより、おそらく同社で最も重要な事業の実情が明らかになり、同社にとってさまざまな選択肢が開かれるだろう。
エンタープライズ分野で最大のIaaSプレーヤーであるAWSはこれまで、Amazonの決算報告で「その他」のカテゴリに分類されていた。一方で、データセンターのキャパシティと通常のフルフィルメントセンターを拡張するにつれて、Amazonの資本支出は急増した。
しかし、Amazonの2014年第4四半期決算発表で驚きのニュースだったのは(同社が数分間、実際に少しだけ利益に興味を示したことを除けば)、同社がAWSの透明性向上に取り組む、ということだった。Amazonは決算を北米とそのほかの地域、AWSに分割して報告する予定だ。AWSには現在、100万のアクティブユーザーがいる。
このニュースのどこが重要なのだろうか。AWSの売上高を別に計上することで、Amazonは多くの選択肢を得ることができる。例えば、Amazonの最高財務責任者(CFO)のTom Szkutak氏は、AmazonはなぜAWSにもっと(現在の2倍、あるいは3倍)投資しないのか、尋ねられた。Szkutak氏は、次のように答えている。
われわれはものすごいペースで拡大している。この数年間、優秀な人を大勢雇ってきた。これは大きな好機だと考えている。われわれがAmazonのあらゆる部分で素晴らしいリソースを提供しているように、今後もそれを継続するために、雇用基準を高く維持していくつもりだ。この機会には大きな興奮を覚えているし、だからこそ多額の投資を行っている。
当社のCapEx(資本支出額)を見れば、そのことを分かってもらえるはずだ。われわれが当社のキャピタルリースの一部で取得した資産も反映されている。もう一度言うが、AWS事業のために人材と資産の両面で、われわれは多額の投資を行っている。われわれも皆さんと同じようにこの事業に興奮を覚えている。
Szkutak氏が言及しなかったのは、Amazonが、絶え間ない投資と小売部門の利益確保、焦点を絞ることのすべてをうまくやり遂げるのは困難だということだ。言い換えると、AWSはすでに十分に成長している。AWSの後を追う旧来のエンタープライズプロバイダーの大半にとって、その事実はニュースではない。
筆者が以前述べたように、AWSに資金を供給する事業として、Eコマースが最良のものではない可能性は十分にある。今後、AWSの売上高を別に計上することで(過去のデータも公開してほしい)、Amazonは最終的にAWSをスピンオフして、株式の一部を発行し、より効率的に資金を調達する可能性に道を開いた。
アナリストはAWSに関するさまざまな質問をSzkutak氏にぶつけたが、あまり多くの返答は得られなかった。結局のところ、AWSの透明性が高まるのは数カ月先になるということだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。