アップルのクックCEO、国家安全保障を口実としたプライバシー侵害に警鐘

Zack Whittaker (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2015-02-16 11:01

 サイバーセキュリティと消費者保護について話し合うホワイトハウス主催のサミットが米国時間2月13日、スタンフォード大学で開催された。その中でAppleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏が講演し、プライバシー権の軽視が最悪の結果を招くことは歴史が証明しており、国家安全保障と引き替えに個人のプライバシーを差し出すようなことがあってはならないと語った。さらにCook氏は、人々が目先の情報を手に入れるために自分のセキュリティを犠牲にすることがあってはならず、システムが正しく設計されていれば利便性とセキュリティは両立すると主張した。

 講演の中でCook氏は、Appleにとって顧客の信頼は何よりも重要なものであり、その信頼を獲得するためにAppleは数十年を費やしてきたと述べた。また、顧客に関するデータを収集し広告代理店などの第三者に販売するようなビジネスモデルにAppleは関心がない点も強調した。

 Cook氏はシリコンバレーの大手テクノロジ企業から参加した唯一のCEOだった。Google、米Yahoo、Microsoft、Facebookは、長年システム侵入を繰り返してきた政府への不信感からか、CEOの参加は見送りセキュリティ担当幹部を出席させるに留めていた。なお、米国家安全保障局(NSA)の内部告発者Edward Snowden氏が公表した、政府の監視プログラム「PRISM」に関するリーク資料の中には、監視対象にAppleの名も挙がっていた。

 今回のサミットはBarack Obama大統領にとって、サイバー攻撃への対抗に向けた政府への協力を民間企業に呼びかける重要な機会だった。サミットが開催された同日、大統領は政府機関と民間企業のサイバー攻撃に関する情報共有を促進するための大統領命令に署名した。この大統領命令は、映像メディア企業Sony Pictures Entertainmentと医療保険会社Anthemに対する大規模なサイバー攻撃を契機に発表されていた。

 また、Cook氏は、「Apple Pay」が年内に国立公園など米連邦機関のモバイル決済に対応することも明らかにした。


Tim Cook氏
提供:White House live stream/YouTube

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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