「前代未聞」とも言えるSwiftの急速な普及
そのことはAppleの敗北を示唆しているわけではない。それはまったくの見当違いだ。
確かに新興市場における開発者の一番人気はAndroidだが、AppleによってObjective-Cの後継と位置付けられたSwiftは爆発的な勢いで多くのモバイルアプリ開発者に受け入れられた(図B)。Swiftの発表からたった4カ月で、モバイルアプリ開発者の20%がこの言語を使用するようになったのだ。これに対してObjective-Cは、開発者のマインドシェアを39%獲得するまでに7年を要している。
これは驚くべきことだ。
図B:Swiftの急速な普及
VisionMobileのレポートによると、さらに驚くべきことに、Swiftを採用した開発者のうち23%はObjective-Cを使用してすらいなかった。これは「SwiftがiOSのネイティブアプリを開発するうえで、ずっと幅広い層の開発者を魅了できる可能性を秘めている証」だという。
RedMonkのO'Grady氏は以下のように語っている。
「プログラミング言語ランキングの歴史を見た場合、Swiftのような成長は前代未聞だと言える。言語の劇的な成長というのは、たいていの場合に順位が5〜10位程度跳ね上がるというものであり、トップ20位圏内に近づくほど、そして20位内では成長が難しくなっていく。Swiftは、2014年第3四半期には68位であったが、同年第4四半期は46位も順位を上げて22位になった」
これによりAppleは、モバイル市場におけるハイエンドな製品セグメントを占有し続けるだろう。しかし、それはさほどよい話ではない。
VisionMobileが浮き彫りにしているように、Appleの「iPhone」は(その価格が市場の平均よりも高いにもかかわらず驚くべきことに)販売数を伸ばし続けているが、そういった成長は「今や新たなスマートフォンユーザーではなく、ハイエンドなAndroidからの乗り換え」によるところが大きい。このため、(ハイエンドな製品市場の飽和を指摘する)同レポートの著者は「その結果、アプリストアから直接的に得られる売り上げの成長率が鈍化している」と述べている。