久留米大学のバイオ統計センターでは、データビジュアライゼーションツールのアカデミック・プログラムを採用、講義において病院経営のビッグデータ解析などに利用した。ツールとプログラムを提供するクリックテック・ジャパンが3月16日、発表した。
大学、大学院などの高等教育機関の学生、教授、研究者を対象とし、データビジュアライゼーションツール「QlikView」などの製品ライセンスを無償提供するのが、クリックテック・ジャパンのアカデミック・プログラム。今回は、その日本国内で初めての活用例とのこと。
久留米大学バイオ統計センターは、ライフサイエンス・バイオ科学技術の発展にバイオ統計学の重要性が高まることを見据えて2003年に開所した。
「国際的水準の教育課程を確立、徹底した個人指導の実施、遠隔教育・産学官連携活動の導入、理論と実務の両面から幅広い人材育成」を理念とし、これまで修士課程55人、博士課程13人と、バイオ統計の知識とスキルを有した優秀な人材を輩出している。
今回のアカデミック・プログラム採用を主導したのは、センター常勤講師の一人である宮本貴宣氏。病院経営室において病院経営全般に関するデータ分析を担当しつつ講義を行っており、以前からQlikViewを利用し、その使いやすさからプログラムへの応募を決めたとのこと。
QlikViewは今回、大学間連携共同教育推進事業の一環として2014年12月20日に開催された医療サービスイノベーション人材育成プログラムの講義において活用された。
この事業は、社会人を対象とした医学研究科修士課程において、医療の現場に変革をもたらす人材育成プログラムを九州の3大学(宮崎大学、久留米大学、北陸先端科学技術大学院大学)の医学部が共同で創成することを目的とした、文部科学省主導の取り組みだ。
具体的には、看護師や栄養士など医師の指示のもとで業務を行うコメディカルスタッフ約10人を対象に実施した宮本氏の「医療サービス統計論」に関する講義において、QlikViewの基本操作と病院経営におけるビッグデータ解析事例を紹介したという。
今回のアカデミック・プログラム採用理由は以下の3点。
- 教育カリキュラムにおいてQlikViewの無償ライセンスが利用できるほか、テキストなどの参考資料が提供される
- 連想型高速インメモリ技術により、一般的なオフィスツールでは扱うことが難しかった病院経営のビッグデータ(大量のトランザクションデータ)分析を扱うことができる
- データの取り込みからデータを視覚的に表現するアプリ開発までが他製品よりも速く、簡単にでき、開発後もアプリのスクラップ&ビルドを繰り返せるため、医療現場における課題をコメディカルスタッフ自らが迅速に発見し、解決する機会を与えることができる
講義後に集計されたアンケートにおいては、「わかりやすく、説得力のある伝え方をするのに役立ちそう」「ビッグデータの定義から解析まで体系的に学べることができた」などの声が寄せられ、概ね好評を博したという。
また、宮本氏は今後、アカデミック・プログラムで提供されている無償トレーニングを活用予定のほか、同センターの他カリキュラムにおいても、QlikViewの活用を検討している。