このような成功事例に倣えば、今までとはやや違った形でビッグデータと分析を存分に活用できる可能性もあるが、企業や組織はこうした事例に気付かないことが多い。企業が通常、これらの機会を見落としてしまう理由を以下で紹介する。
1. ほとんどの組織では、コストを節約しても報われない
確かに、従業員からコスト節減や業務改善の方法に関する提案を受け付けている企業は多いが、取締役会の関心事や、最高レベルの幹部が受け取るストックインセンティブと昇給の決定方法を考えれば、舞台裏でコスト削減に励む人ではなく、売り上げを伸ばしてくれる人がいる部署に多額の予算が割り当てられる。
2. サポートシステムを「チューンアップ」する十分な時間がない
事業に必要な施設や設備を動かすために、電源は常時入れておく必要があるということは、誰もが理解している。しかし、従業員の大半は、そのために雇われているわけではない。ほとんどの従業員は、建物、設備、プロセスをもっと経済的に運用する方法をきちんと調べる十分な時間がない。誰かに命令されない限り、そんな時間は持てないだろう。
3. ほとんどの企業はコスト削減が苦手
売り上げが落ち込んだときに、最高財務責任者(CFO)が最初に削減しようとするのは、「自由裁量」のコストだ。従業員の解雇や契約の解除などがこれにあたる。建物や設備(とそれらが消費するエネルギー)は、どうしようもない「固定費」とみなされる。要は、中にいる従業員の数が減っても、建物の利用は続くということだ。それは高く付くコスト削減方法といえる。
結論
ビッグデータと分析は、企業幹部に大規模な調査の実施を強いることなく、コスト削減の機会に関するアラートを幹部に送信する自動の意思決定システムとして、生産的に活用することができる。ある企業が不必要な冷蔵を減らすことで冷蔵エネルギーコストを20%節約し、別の企業がテスト結果の分析によってチップテストプロセスで年間数百万ドルを節約できるのなら、他の企業にも同様の成果を上げる機会があるはずだ。
結局のところ、企業がバランスシートを良い状態にする方法は2つある。お金を稼ぐか、お金を節約するかだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。