エンタープライズレベルのサービスを安定して運用するには、Couchbase Server製品単体としての対障害性を確保することに加え、これらの運用管理ツールと連携し、万一の事態やトラフィックの増加に迅速に対応できる体制が必要です。Couchbase Serverには運用管理ツールとの連携に必要なAPIが豊富に存在しています。
トランザクション
NoSQLにまだ親しみのない方にCouchbase Serverを紹介して、まず聞かれるのがトランザクションです。Couchbase Serverにトランザクションがないと聞くと、もうデータベースとして使えないと思われるケースも確かにあります。
これまでRDBMSだけでシステムを運用してきたエンジニアにとってトランザクションがないというのは深刻な問題なのかもしれません。とはいえ、果たしてトランザクションは全てのシステムになくてはならないものなのでしょうか? KDDI Business IDのサービスのようにユーザーIDの認証というケースでは、トランザクションよりむしろ高い可用性や柔軟性などNoSQLが得意とする分野が必要とされました。
もちろんNot Only SQLの語源の通り、RDBMSの方がより必要とされるケースはこれからもなくならないのも事実です。コアな金融系など、ACID属性が必須のシステムでは、依然としてRDBMSの利用は続くものと考えられます。堅牢なスキーマによるデータベース側でのデータバリデーションなどもRDBMSの利点です。
重要なのは、NoSQLとRDBMSの違いを理解し、どのケースにはどのソリューションが最適であるかを考えることにあるのではないでしょうか?
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NoSQLと一言で言っても、今回の特集記事で紹介されているNoSQLはそのごく一部で、Couchbase Serverだけを取っても沢山のユースケースがあります。KDDIの事例の他にも、RDBMSではなかなか扱うのが難しいリアルタイムビッグデータやNoSQL初のモバイルソリューションによってモノのインターネット(Internet of Things:IoT)の分野やモバイル全域でのニーズも広がりつつあります。
今回、ポストRDBの一つとしてCouchbase Serverについて紹介させて頂きましたが、今後RDBMS、NoSQLに関わらずデータベースを検討する上でCouchbase Serverを思い出して頂き、またこの記事が少しでもCouchbase Serverについて理解を深めるきっかけになれば幸いです。最後までお読み頂きありがとうございます。是非、ダウンロードして使っていただければと思います。

- 河村康爾(かわむら・こうじ)
- Couchbase Japan
- 前職ではHadoopやNoSQLデータベースを利用したシステム開発を担当。Japan Couchbase User Groupのリーダーを経て2015年から現職。ソリューションエンジニアとして製品説明、提案、導入支援、国内でのCouchbase公式トレーニングなど幅広い分野で活躍。マニュアルの和訳やブログ記事も執筆中