富士ゼロックスは5月7日、主要取引先である約900社などと結んだ電子商取引用の電子データ交換(Electronic Data Interchange:EDI)の機能を強化、自社開発した調達BCP(事業継続計画)システムと接続することで、調達関連情報をグローバルで一元管理する仕組みが稼働したことを発表した。取引先とやり取りする情報をタイムリーに可視化し、それらの情報を社内のさまざまなデータベースとつなげて分析することで、災害などで迅速な経営判断を支援するとしている。
同社では、暗号化技術を使ったEDIを2001年に導入し活用してきた。2008年に調達本部を設置するなど、一連の調達改革に取り組み、国内外の生産会社を横断した調達体制の再編とガバナンスの強化、取引先関係の再構築、CSR調達、取引先ごとに全取引を統括する主幹バイヤー制度の導入など体制を強化してきた。EDIと調達BCPシステムの連携は、こうした改革の仕上げと位置付けており、調達業務のさらなる効率化と原価改善、緊急事態への対応力強化を図っていくという。

システムの概要(富士ゼロックス提供)
EDIの機能強化では、対象とする文書をこれまでの設計変更依頼や部品発注などの5種類の文書から、メールやファクスでやり取りされていた生産準備や量産調達、管理改善の全プロセスにわたる43種類の文書に順次拡大していく。調達部門と取引先との間で交わされる各種問い合わせとその回答などの進捗を管理する機能を追加する。
担当者間のやり取りを両社の管理者や関連業務担当者が適切なアクセス権管理のもとで閲覧できる機能も追加し、調達業務を組織的に管理できるようにする。富士ゼロックスの調達部門だけでなく、取引先でも調達業務の管理強化や効率化が図れるという。
調達BCPシステムは、東日本大震災やタイの水害などの経験から生産計画、構成管理、部品属性、生産基幹システムなどの各種データベースを連携し、BCPの立案や遂行を支援するシステムとして構築、2012年から稼働している。このシステムを活用することで2011~2014年にリスク案件に関わる対応時間を大幅に短縮、問題発生から1週間以内で解決に至った案件の割合を1.5倍に高め、生産などへの影響度の高いリスク案件の割合を3分の1に抑えたという。
EDIと調達BCPシステムを接続することで中国やベトナムなどのそれぞれの生産拠点での調達業務に関するすべての情報をタイムリーに一元管理できるだけでなく、上記のような各種データベース情報と連携することで、調達業務の効率化とBCP対応力を高めるとしている。
大きな災害などが起きた際、取引先との間で交わされる部品供給への影響に関する問い合わせや回答を新システムを通して行うことで、これまでのように手作業で集計するのではなく、生産への影響の全体像をタイムリーに把握できるという。取引先から入手した部品の供給に関する情報を部品在庫情報や生産計画などほかのデータベースの情報と連携させ、代替部品の発注や生産計画の変更などに役立て、生産ライン停止などの影響を最小限にとどめられるとしている。