Sansan、API公開へ--日本郵便、セールスフォース、MS、サイボウズなどが利用

怒賀新也 (編集部)

2015-05-12 17:13

 名刺管理サービスを提供するSansanは5月12日、都内で記者発表会を開き、自社の名刺管理サービス「Sansan」とパートナー企業のサービスを連携できるようにするため、APIを8月中旬に無料公開すると発表した。

 顧客データベースなどの他社サービスと名刺管理ツールを連携し、営業担当者のデータ入力負担を軽減したり、顧客マスターを最新の状態に保てるようにしたりといった利用方法を想定している。

 提供する「Sansan Open API」の形態は、RESTful APIとJavaScriptライブラリ。パートナープログラムへの参加を提供条件としている。パートナーのタイプは、APIを自社製品に組み込む「Productパートナー」と、システム導入で利用する「SIパートナー」の2種類。APIを利用して、自由にソフトウェアの開発、販売ができる。

 発表会には、日本郵便、セールスフォース・ドットコム、サイボウズ、日本マイクロソフトの4社が約20社の先行パートナーを代表して登壇した。

日本郵便の執行役員で、郵便、物流営業部担当の津山克彦氏
 日本郵便の執行役員で、郵便、物流営業部担当の津山克彦氏

 日本郵便の執行役員で、郵便、物流営業部担当の津山克彦氏は「SansanにはAPI公開を以前から依頼していた」という。年賀状離れを食い止めるために有効と考えた。現在、全年賀状の2割が企業絡みのものだが、年賀状のやり取りを「儀礼的」として敬遠する動きが広がっていることに危機感を覚えたという。

 そこで「名刺交換をした人にもっと気軽に年賀状を出すような習慣を広めたい」と考え、その基盤としてSansanに注目した。

 セールスフォース・ドットコムの専務執行役員でアライアンス本部長の保科実氏は「名刺はオフラインの顧客接点の入り口になる。名刺データベースが開示されることで、さまざまなクラウドベンダーが連携し、顧客により広範な機能を提供できるようになる」と話した。

 「クラウドの普及とともに、1社ですべてそろえて競争する時代ではなくなっている。付加価値の提供が遅れるからだ。今後は共創の時代になる」(保科氏)

 サイボウズの執行役員、ビジネスマーケティング部長を務める林田保氏は「1つのアプリケーションですべてを解決できないため、クラウドサービスベンダーとの連携を重視している」と連携の意図を説明。

 顧客情報管理システム(CRM)「Dynamics CRM」との連携を発表した、日本マイクロソフトの執行役、Dynamicsビジネス本部長を務める日隈寛和氏は「営業の生産性向上を期待している」と話した。

 この日発表されたパートナー企業は、50音順で次の通り。アイキューブドシステムズ、アプレッソ、インフォテリア、ウイングアーク1st、オプティム、カイロスマーケティング、サイボウズ、セールスフォース・ドットコム、ゾーホージャパン、ネクスウェイ、日本マイクロソフト、日本郵便(JPメディアダイレクト)、マクロミル、弥生、レッドフォックス、NIコンサルティング、NTTコミュニケーションズ、SAPジャパン、Twilio for KDDI Web Communications。

 このほか、SFAソフトウェアを提供するソフトブレーンも、パートナーシップに参画すると発表している。

 Sansanの取締役、富岡圭氏は、APIの公開により「Sansanと他のITサービスが組み合わさることによる新たな価値が生まれる仕組みをつくりたい」とアピールした。

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