その方がいい。クラウド、特にパブリッククラウドはIT部門に仕えるものではない。
AWSでアジア太平洋地域のインフラストラクチャ部門を統括するGore氏は、次のように主張した。
クラウドは新たな標準になりつつある。クラウドを使わないのは、重力に逆らうようなものだ。それは不可避である。クラウドを利用しないなら、あるいは、クラウドが自社の戦略のどの部分に適しているかを考えなければ、クラウドを使って俊敏性と規模を拡大させている他社に追い越されるリスクを冒すことになる。クラウドは、新しいアプリケーションやサービスの構築を検討する顧客の基本的な選択肢になりつつある。
Gore氏の主張は、GartnerのアナリストであるThomas Bittman氏の調査によって補強された。その調査では、パブリッククラウド仮想マシン(VM)は20倍に増えたのに対し、プライベートクラウドVMは同じ期間内に3倍にしか増えなかったことが分かった。「新しいものに関しては、パブリッククラウドが選ばれる傾向があり、古いものを新しい方法で実行する場合は、プライベートクラウドが選ばれる傾向が強い。そして、単純に新しいものの方が急速に拡大している」。Bittman氏はこのように結論づけた。
IT部門は、状況が一変して、自分たちがインフラストラクチャをもっとコントロールできるようになることを望むだろう。プライベートクラウドが繰り返し大々的に提唱されるのは、そのためだ。
これは、(展開が遅いとはいえ)「OpenStack」に大きな関心が集まっている理由の1つだ。 Mirantisの最高マーケティング責任者(CMO)を務めるBoris Renski氏との会話の中で、同氏は「OpenStackはデータセンターOSであり、VMオーケストレーションエンジンではない」との見解を示している。データセンター事業者や企業が自社のクラウドをコントロールできるようにするものだ。
それは正しいかもしれないし、正しくないかもしれない。
OpenStack導入を話題にしたがる人は多いが、現実には、Gore氏が指摘するように、「人々は自分が支持する陣営に赴くことで、賛成票を投じている」。その票はパブリッククラウドに集まりつつある。なぜか。「自分たちの生活をもっと楽にしてくれるテクノロジを試したい」からだ。
言い換えると、パブリッククラウドが優勢なのは、利便性がはるかに高いからだ。CIOは、それと同じ水準の利便性をデータセンター(とプライベートクラウド)に組み込むことができるまで、重力に逆らうことになるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。