Internet Explorerの利用シェアを最大化するという目標を追求するため、Microsoftは、本来であればInternet Explorerによって収入を得ることができる、プロフィットセンターの数を大幅に制限してきた。例えばMicrosoftは、Internet Explorer上にブラウザシェルを構築する開発者が、広告料などの補助的な売り上げを得ることを認めている。さらにMicrosoftは、ブラウザのライセンシーにスタートページの変更を許可しており、そのために、Microsoftがそのページに掲載する広告に対して、広告主が支払おうとする料金が制限されることになっている。
このように、商品を無料提供することでインストールベースの拡大に力を入れるというのは、結局は先進的な試みだったことが判明する。現在の数十億ドル規模の新興企業を見ると、その多くは、製品を無料で提供しながら、広告からの収入か、またはごく一部のユーザーがプレミアム機能に支払う料金のいずれかに期待するという、同じ「フリーミアム」モデルに基づいている。
今では古くなってしまったこの文書には、最近のニュースに登場した他の企業や人物の名も出てくる。
5月に入りVerizonによる買収が発表されたAOLは、当時は「MicrosoftのMSNの主な競合サービス」だった。
プリンストン大学のEd Felten教授は当時、政府の専門家証人を務め、WindowsからInternet Explorerを取り除く方法のデモンストレーションを行った人物だが、同教授は5月11日、ホワイトハウスのテクノロジとイノベーションに関連する政策決定についてのアドバイザーに指名された。
そして、1990年代後半には、SunのJavaはMicrosoftの存在を脅かすものと見られていた。数週間前にMicrosoftは、開発者にAndroidアプリ用のJavaコードをWindows 10アプリで再利用することを許可すると発表した。
この独占禁止法訴訟を振り返ると、それが消費者や企業のためになったとは思えない。この訴訟で出された救済措置は、AppleとGoogleという、現代のコンピューティングを定義することになる2社に何の影響も与えなかった。
裁判所が提示した最初の解決策は、Microsoftを2社に分割することだったが、これは控訴審で却下された。それが現実になっていたら、コンピュータの世界を良い方向に変えていたかどうかは分からない。
さしあたり、Microsoft Edgeが何らかの独占禁止法訴訟の対象になるだろうと考える理由はほとんどない。少なくとも、この世界では。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。