米国のデータセンター大手であるEquinixが、英国の競合データセンター大手であるTelecityを23.5億ポンド(約36億ドル)で買収することが判明した。米国時間6月4日までにEquinixの正式提案が提示され、Telecityがそれを受諾して買収が成立すると、Equinixは欧州最大のデータセンター企業となる。
EquinixはTelecityの買収により、欧州12都市にある39カ所のデータセンターと、2500件の顧客契約を手に入れる。ビジネス上の重要拠点であるロンドンの再開発地区「ロンドンドックランズ」全体の顧客も得ることになる。
Equinixは現時点で、イギリス、オランダ、ドイツ、フランス、スイス、アラブ首長国連邦(UAE)に30カ所のデータセンターを擁しており、これらの地域から上がる収益は、同社の全世界における収益の4分の1を占めている。EquinixはTelecityの買収により、これら既存の市場(アムステルダム、ロンドン、フランクフルトなど)におけるプレゼンスを強化するだけでなく、ダブリン、マンチェスター、ストックホルム、ヘルシンキ、ミラノなど、西欧や北欧の主要市場への足掛かりを得ると同時に、ソフィア、ワルシャワ、イスタンブールなど、中央、東欧、トルコに進出する道も切り開くことになる。
TelecityはEquinixから提示された買収案への合意に伴い、すでに進んでいたオランダのデータセンター企業Interxionとの合併交渉を、5月29日に正式に打ち切った。TelecityとInterxionは2015年2月に合併交渉を進めていることを明らかにしていたが、両社の合併案はEquinixが5月に23億ポンドの買収案を提示した段階で危機に瀕していた。
Equinixが提示した買収額23.5億ポンドは、TelecityとInterxionの合併交渉が公表された前日となる、2015年2月10日におけるTelecityの終値に、34.9%のプレミアムを付与したものである。Equinixが提示した買収案によると、Telecityの株主は1株あたり572.5ペンスの現金と、新会社の株式を0.0327株付与される。これにより、Telecityの株主は新会社で10.1%の株式を保有することになる予定。
Telecityの代表取締役会長であるJohn Hughes氏は、経営陣とともにあらゆる選択肢を慎重に検討した結果、Equinixの提案が、株主、従業員、顧客を含むTelecity全体にこの上ない利益をもたらすと確信するに至ったと述べている。
一方、Equinixの最高経営責任者(CEO)兼プレジデントであるStephen Smith氏は、Telecityの買収により、欧州とその周辺各国におけるEquinixのビジネス展開力が大幅に強化され、データセンター市場のグローバルリーダーとして揺るぎない地位が確立されるとしたうえで、同地域におけるクラウドサービスとネットワークサービスの密度向上は顧客にも大きな恩恵をもたらすと述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。