例えば、Darwinを使用可能な独自OS(「PureDarwin」など)にすることを目指す取り組みもあったが、大きな成功は得られていない。Googleは2013年、WebKitからフォークした「Blink」の開発に着手した。Googleの開発者が離れてから、WebKitのコミットは60%低下した(PDFファイル)。
「どのライセンスを選ぶにせよ、そのプロジェクトの未来を最終的に決めることになるのは、Appleが選ぶガバナンスモデルだろう。そのモデルがどのようなものになるのかについて、まだ詳細は明かされていないが、Appleが貢献についてはっきりと言及したこと(『われわれはコミュニティからの貢献を受け入れる。むしろ、それを奨励する』)は興味深い。AppleがSwiftを名ばかりのオープンソースにするつもりなら、貢献について全く言及しないのが同社にとっては最も簡単なことだろう。このことは、すぐにではないにせよ、将来、オープンなガバナンスモデルへの扉が開かれる可能性を示している」(O'Grady氏)
オープンソース管理企業Black Duck Softwareでシニアディレクターを務めるBill Weinberg氏も、Swiftの周りに真のコミュニティは形成されないのではないか、と懸念する。「Swiftのコンパイラとランタイム、関連ツール群を中心として、有機的で力強いプロジェクト開発コミュニティが短期間で生まれる可能性は低い。Appleはプロジェクトのキュレーションに関して好みがうるさいことで有名だ。ほかの分野と同様、オープンソースソフトウェアの世界でも、コンパイラに精通した人や関連ツール開発者によってエリート集団が構成される」(Weinberg氏)
Weinberg氏は、「最も『重要な』プログラミング言語は既にオープンソースになっているか、主要規格のOSS実装になっている(C/C++やGo、PHP、Python、R、Rubyなど、挙げればきりがない)ので、Appleの動きはある程度、他者に追随したものだ」と続けた。
「ターゲットにするプラットフォームとして、Linuxは理にかなっている。Linuxは新規開発で選ばれるプラットフォームであり、ほかの次世代言語が誕生したり、現在それらの言語が普及したりしているプラットフォームだ。Swiftで『Windows』をターゲットにしないという選択は商業的な理由があるからだが(Mac OS Xはデスクトップ市場シェアをめぐってWindowsと直接競合し、程度の差こそあれ、開発者のマインドシェアでも直接競合する)、Windowsをターゲットとするには、越えなければならない技術的な壁も高い」(Weinberg氏)
AppleがSwiftのオープンソース化に成功するかどうかに関係なく、Zemlin氏がブログで述べた意見は正しかった。「われわれが20年以上も取り組んできた作業の妥当性をAppleやMicrosoftのような企業が認めてくれるのは、感動的なことだ。われわれが、モノのインターネット(Internet of Things:IoT)やモバイルコンピューティング、自動車テクノロジといった、テクノロジ企業にとって重要な戦場である分野の複雑さに取り組んでいる中で、AppleやMicrosoft、Facebook、Amazon、Google、そのほかの多くの企業が、こうした分野でイノベーションを発展させていくためにオープンソースソフトウェアに目を向けている」(同氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。