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大木豊成「Apple法人ユースの取説」

限界があるからいい--iPadが企業で使われる本当の理由

大木豊成

2015-06-19 07:00

 2010年にiPadが発売されると同時に、医療系企業を中心にiPadを持つ営業担当が急増した。一方で、購入はしたものの情報システム部門の部屋に山積みされたままのiPadもたくさん存在した。個人オークションサイトのヤフオクでは、iPad発売の3カ月後には多くのiPadが出品されていた。その差はいったい何だったのだろうか。

 また、iPad登場以降に多くのAndroidタブレットが登場した。しかし、多くの企業では複数のOSを検証した上で、Androidを採用せずにiPadを採用するに至っている。それはなぜなのだろうか。

iPadには限界があるからいい

 筆者は、2010年に出版した『iPad on Business』(翔泳社)の中で、「iPadには限界がある。だからいい」ということを書いている。ここで書いていることは、例えば営業マンのワークスタイルを変えよう、ということだ。前回も書いたが、営業担当が本業である「営業」以外の、資料作りや報告書作りに終始しないためのツールとして、この「限界」に意味があるのだ。Appleがそれを意図していたかどうかは分からないが、結果として多くの企業が導入に至っていることになる。

野村證券のiPad活用

 証券会社というと、老舗企業といわゆるネット証券とで二極化している印象があると思う。前者は、旧来の営業担当が足しげく顧客のもとに通い、資産運用の提案をする。上顧客のもとには、毎日のように通い続け、何回かに一度の受注を受ける。一方、後者のネット証券は、デイトレードなどすべての受発注をネットで完結させており、顧客が営業担当と会話をする必要がない。どちらの証券会社がいいかは顧客次第だが、前者にはどうにも古い印象があり、先進的なITとは縁遠いイメージを持つ人が多いかもしれない。

 野村證券は、大正時代に創業した老舗中の老舗といった証券会社だ。しかし、同社は早くからITに強い関心を持ち、iPadや社内SNSの導入を進めてきた。

 筆者は、2013年に、当時同社の国内IT戦略部長だった藤井公房氏にインタビューをしたことがある。藤井氏は、iPhone発売当時から「これは仕事に使える」という確信を持ち、iPad発売当初に複数の社員でアップルストア銀座に並び、購入した、という話をされていた。当時は1人2台しか購入できず、法人向けの販売はされていなかったからだ。

 同年のIT系イベントで、藤井氏は以下のように語っている。「先輩は“すし職人”によく例えたが、証券営業は手際よくお客様に訴えていくことが非常に大事。野村證券でも以前、営業にノートPCを配布したことがあったが、うまくいかなかった。起動が遅く、また電池が持たないから客先でコードをつなぐなど、手際のよさでは紙に勝てないからだ」

 一方でiPhoneはスリープ状態でバッテリの消耗が少なく、瞬時に起動できる。ただ、残念ながら当時のiPhoneでは画面が小さく、相手が1人と言えどプレゼンテーションやデモを見せるのは難しかった。そんなところにiPadという救世主がやってきたのだ。藤井氏は自社の社員と一緒に並び、合計22台のiPadを入手して、早速活用テストに入っていった。

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