マーケティング部門とのコミュニケーションを円滑化する
コミュニケーションの円滑化は基本中の基本である。が、両部門に所属する人材のスキルセットや、バックボーンが異なりすぎて、「コミュニケーションの重要性は理解しているが、なかなかうまくいかない」ことも多いだろう。そんな悩みをお持ちの読者にご提案したい施策がある。
それは、「一部の情シス担当者にマーケティング部門へ出向してもらう」というものだ。普段、マーケティング部門が何を考え、どういう目的で仕事をしているのかを身をもって把握してもらうのである。マーケティング部門からは、データを出せるスタッフが来た、と喜ばれるに違いない。情シス担当者、マーケティング担当者、どちらの気持ちもわかる人材を育てることで、部門間のハブができ、連携が進んでいくに違いない。
なお、出向する情シス担当者は「ただの作業者にならず、要件の定義や目的の整理から一緒になって業務を進める」ことに注力したい。分析者は作業者ではなく、実行者に近いマインドを持っていないと、ビジネスに分析を活かすことができないためだ。
マーケティング部門が見たいものが容易に見られる環境を構築する
前の項で「作業者にならない」と述べたが、そのためのアプローチとして、「マーケティング担当者でも作業ができる環境を提供すること」は非常に重要である。
マーケティング担当者のデータ出力依頼に逐一対応し、都度コードを書いても、ほとんどが書き捨てになり、時間だけが過ぎていく、などということは日常茶飯事だ。そのようなことにならないよう、簡単でもいいのでマーケティング担当者がデータを見られる環境は作りたい。
環境、というと立派なものをイメージされるかもしれないが、マーケティング部門が必要としているデータについて、生データ(集計されていないデータ)に近いものを共有フォルダに置く、などでも初めはいいと考える。生データさえ手に入れば、マーケティング担当者が情シス担当者に依頼せずとも、Excelの集計機能を用いて自己解決ができる場面が増えるだろう。同時に、マーケティング担当者のデータに対する理解も深められる。
生データのイメージ
上記の3ポイントを押さえられたら、次に数値を可視化する。見るべきKPIを両部門で相談し、決め、自動レポートや、ダッシュボードに落とし込んで、両部門で発生しているであろう、都度データ出力や加工にかかるコストを削減する。
ここまでに、情シススタッフは顧客行動について基礎集計、つまり時系列推移の変化や、2軸でのクロス集計を大量に実施し、顧客に対する定量的な理解を深めておきたい。