海外コメンタリー

なぜインドの大手IT企業は大量の人材を再教育しているのか - (page 2)

Saritha Rai (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2015-08-19 06:15

 Tiwari氏は、「デジタル技術を使いこなす人材が十分にいる企業は、業界を上回るペースで成長するだろう」と言う。企業の中には、人材を獲得するために、買収によって人材を集め、人材のホットスポットにデリバリーセンターを構築するといった、革新的な雇用戦略を採用しているところもあると同氏は語る。ITサービス企業は、ニッチな企業の買収を通じて、デザインコンサルタントやビッグデータ専門家など、高い技術を持つ人材を獲得しようとしている。インドで3番目に大きなITサービス企業であるWiproなどの企業は、デジタルのホットスポットの周辺にデリバリーセンターを構築しようとしている。例えばWiproは、サンフランシスコ・ベイエリアやロンドンのような場所にデジタルポッドと呼ばれるものを設けている

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Ganesh Ayyar氏
提供:Ganesh Ayyar

 しかし、10億ドルの売上高があるMphasisのCEOであるGanesh Ayyar氏は、大量の人員を訓練するだけでは、業界に広がりつつある、より大規模な変化に十分対応できていない可能性があると言う。「デジタルについての意思決定は、IT部門や調達担当部門ではなく、企業自体によってなされている。技術は企業の中心部にさらに近づいている」(Ayyar氏)

 より新しい分野ではプロセスがかなり異なるため、業界が直面している課題は従業員の再訓練だけでは対応しきれない。「必要なのは組織の再編だ。これには、CEOの交代のほか、企業が正しい方向性、主力市場、戦略、構造を有しているかを評価することが含まれる」(Ayyar氏)。Mphasis自体の戦略は、上位16社の顧客を重視することだ。同社は、「この16のクライアントにとって重要な存在となるために」、顧客管理プロセスを再構築し、リーダーシップを再編したとAyyar氏は語っている。


Azfar Hussain氏
提供:Azfar Hussain

 インドのITサービス企業では上位20社に入るZensar Technologiesは、リーダーシップを構築して、顧客中心の度合いを高めつつある。従業員は顧客のビジネス上の懸念を理解し、解決方法を生み出す考え方を持つように訓練を受けていると、同社のグローバル人材担当責任者のSyed Azfar Hussain氏は言う。「組織として、われわれは各顧客がそのビジネスで成果を出せるよう支援することに尽力しており、これには考え方と訓練方法を刷新することが求められる」(Hussain氏)

 顧客がデジタル環境でうまく運営していけるよう、完全に変革するために手助けをすることは、2020年までに3000億ドルの売上高を達成するという野心的な目標を追求するインドのIT業界にとっては、新たな挑戦だ。この業界は、過去数十年、変化する技術と企業環境の中を猛烈な速さで進んできた。「インドのITサービス業界と、そこで働く人々の逆境指数は非常に高い」とMphasisのAyyar氏は言う。今回の逆境は、通常の変化以上のもの、あるいはAyyar氏が言う、トップダウンの「再編」が必要なのかもしれない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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