IBMとCanonicalは、Linuxディストリビューション「Ubuntu」が近いうちにIBMのメインフレームで動くようになることを、LinuxConカンファレンスで発表した。
IBMの「System z」担当ゼネラルマネージャーのRoss Mauri氏と、UbuntuおよびCanonicalの創始者であるMark Shuttleworth氏によると、今回の動きは顧客の要望を受けたものだという。10年以上にわたって、IBMのメインフレームでサポートされるLinuxディストリビューションは、「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)と「SUSE Linux Enterprise Server」(SLES)だけだった。
Ubuntuが成熟するにしたがって、エンタープライズLinuxとしてUbuntuを求める企業が増え、IBMの大規模なハードウェアでUbuntuを利用したいと考える企業も増加した。特に銀行はIBMのメインフレームでUbuntuが利用できるようになることを希望していた。金融機関の最高情報責任者(CIO)の願いは近いうちに叶えられるだろう。
Shuttleworth氏がインタビューで述べたところによると、2016年4月までに、Ubuntuの次の長期サポートバージョン「Ubuntu 16.04」によってUbuntu Linuxがメインフレームで利用可能になる予定だという。CanonicalとIBMは2014年後半、IBMの「POWER」アーキテクチャでUbuntuをサポートし、この動きに向けた第一歩を既に踏み出している。
Canonicalの最高経営責任者(CEO)であるJane Silber氏は、発表の中で以下のように述べている。
「LinuxONE」を含む「z System」のサポートとともに、CanonicalはIBMとの提携も拡大し、POWERアーキテクチャと「OpenPOWER」エコシステムに対する当社のサポートを強化していく。「Power Systems」の顧客は現在、Ubuntuのスケールアウト機能や、「POWER8」における「CAPI(Coherent Accelerator Processor Interface)」などの新しい技術の市場初のサポートを実現した当社のアジャイル開発プロセスの恩恵を得ている。それと同じように、z Systemの顧客も同じ速さで技術の進歩が展開されていくことを期待でき、エンドユーザーに向けた新しいサービスの提供を高速化する「Juju」などの当社クラウドツール群の恩恵を得ることができる。さらに、当社とIBMの協業には、Juju Charmによって、IBMの多くのソフトウェアソリューションをスケールアウト展開できるようにすることも含まれる。メインフレーム顧客は、「Charmによって展開される」豊富なIBMソリューション、Juju経由でメインフレームに展開できるほかのソフトウェアプロバイダー製品やオープンソースソリューションを享受できるようになるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。