2. スクラムをどれだけうまく運用できるか
現時点でスクラムをうまく運用できていないのであれば、スクラムによる開発活動全てをSAFeのようなフレームワークに統合することには成功しないだろう。自分の組織にSAFeの導入を検討している場合に、リーダーが犯す根本的な間違いがいくつかある。
1つ目は、SAFeによってスクラムの問題が全て解決されると考えることだ。これは、スクラムに関する問題の性質が、拡張性に関係のある場合にしか当てはまらない。意見の不一致や、重要な人々の関与がないといった典型的な問題を抱えている場合には、SAFeを導入しようとしても問題を悪化させるだけである。
リーダーが犯す2つ目の間違いは、非アジャイルの世界からSAFeへ一気に進んでしまうことだ。これは理論的には可能かもしれないが、筆者はこの方法を勧めない。元の質問に戻ることになる。答えが「分からない、現時点ではスクラムを運用していない」というものなら、それで何か分かるはずだ。
現在スクラムを実践していないのであれば、社内のデータサイエンスチームとともに徐々に慣れていこう。既存の興味深いプロジェクトを選び、チームにスクラムについてどう思うか聞いてみる。チームがスクラムを使うことに熟練したら(それにはしばらくかかることがある)、SAFeに進む準備ができたことになる。
3. どのくらい待てるか
企業のアジャイル化を急いでいるとしたら、それはあきらめるべきだ。リーダーの中には、スクラムを組織のさまざまな領域でうまく運用できることが分かった組織は、SAFeをすぐに簡単に導入できるという、誤った考えを持っている人がいる。そのようなことは決してない。どのような組織戦略でもそうだが、組織が変化をうまく乗り越えるには3~5年かかる。今すぐに始めれば、多少の恩恵は手にすることはできるが、しばらくは、SAFeの十分な恩恵を得ることを期待してはいけない。
時間がかかるのは、組織変更管理(OCM)と関係がある。OCMの観点からすれば、それはほかの企業レベルでの価値観の変更と何ら違いはない。自分の組織にとってアジャイルが何を意味するのか考え、自分たちのビジョンをかなえる3~5年先の目標地点を定める必要がある。そして、今いる場所からそこに到達するための具体化計画を慎重に立てなければならない。このプロセスで近道する方法はない。SAFeは、その地点に到達するための仕組みは与えてくれるが、それでもやはり人の行動には対処しなければならない。
まとめ
SAFeは、アジャイルな企業の運用に尽力するのであれば、組織にとって素晴らしい取り組みである。間違った期待を抱いて、すぐに飛びつくような間違いをしないようにしてほしい。
次のレベルに進むことを決めたら、専門家の助けを得ながら、しっかりと進むようにしよう。なぜなら、それは平坦な道のりではないはずだからだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。