中国ビジネス四方山話

中国ネット界のホットトピック「O2O」に終焉の噂--その真相は

山谷剛史 2015年09月15日 06時00分

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 2015年の中国ネットニュースでは、「大数据(ビッグデータ)」と「O2O(Online to Offline)」の単語をことさらよく見かける。2014年以前から登場しているが、さらに界隈が活発になっている。O2Oとは、例えばUberのような配車サービスや、近所の食堂やチェーンレストランのデリバリーほか、家事サービスや洗車サービス、子供/学生/社会人向けの教育サービス、ネイリストや美容師派遣、出会いサービスなどを指す。百度で「O2O」をキーワードに検索すると、「成功例」が予想検索として表示される。中国語が読めれば、検索結果で出てきた中国でのO2Oに関する実例を見て、理解を深められるだろう。

 しかしここへきて、将来が明るそうにも思えたO2Oに暗雲が立ち込める。最近、終了したO2Oサービスをリスト化した「O2O死亡名単」という記事が、中国のネット業界を駆け巡っているのだ。実際に終了したネットサービスばかりが挙がっているのだから説得力がある。何があったのだろうか。

 起業家が多い中国では、かつてのクーポンサイトがそうだったように、模倣しやすいビジネスモデルのサービスがいったん注目されると、中国全土で雨後の筍のように似たものが登場する。沢山登場したことにより、市場では終わりなき低価格競争とスピード競争が始まる。O2Oはリアル店舗の人がサービスを提供するのが特徴だ。これまでのネットビジネスはプラットフォームさえ作ってしまえばよかったが、O2Oでは人を動かさなければならない。これまでとは勝手が異なる。

 価格面でも、2014年から始まったタクシー配車サービスやオンラインショップの競争以降、激安で利用できるお試しサービスが当たり前となった。新しいサービスを使わせるためには、ネットで「紅包」なる金一封を渡さなければ、消費者は重い腰をあげなくなってしまった。最初に資本を大量投入して大赤字になる代わりにユーザーの注目を引き、そこから彼らを繋ぎとめる手法が王道になってしまった。こうなるとアイデアや行動力はあっても、金銭的体力のない小さなサービスは勝ちようがなく、脱落していく。

 O2Oサービスは地域単位、集合住宅単位でできるからこそ、小さく立ち上げられそうだが、考えてみてほしい。同一地域内で、複数のO2O企業が統一性なく、洗濯、デリバリー、掃除などのサービスをバラバラに始めても、誰も使いたいとは思わないだろう。

 新天地に見えたO2Oの分野でもビジネスは簡単ではなく、O2O死亡名単は嘘ではなかった。結局生き残ったのは、マンションの管理会社が提供する、様々なサービスを1つのサイトで提供するO2Oサービスないしは、融資を受けて、金の力で一気にユーザーを味方につけた名のあるネット企業のO2Oサービスだった。

 O2Oのサービスの中で最も成功しているのが、ファストフードをネットで注文を受けてデリバリーするフードデリバリーサービスだ。その中の定番の「餓了ma」は、2015年1月27日に計3億5000万ドルの融資を騰訊、京東、大衆点評、紅杉資本から受けて、競争に生き残っている。フードサービス大手の「餓了ma」は、食材を販売するサービスもリリース。直接の販売や配送は行わず、あくまで売り手と買い手の橋渡しとなるサイトを提供する。餓了maは260強の都市をカバーし、毎日200万件のオーダーが入るという。

 食材の販売は普及していないので、まずは食材を日々まとめ買いするレストランと、まとめ売りできるとありがたい農作物市場側を繋ぎ、両者にオンラインショッピングの体験をしてもらう。こうしてユーザーを囲ん込んだ上で次の手を打つ。アイデアのある個人の起業家ではなく、金のある企業が、中国の次のサービスを提供していくという構図は、O2Oでも結局変わらない。

山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター
2002年より中国雲南省昆明市を拠点に活動。中国、インド、アセアンのITや消費トレンドをIT系メディア・経済系メディア・トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に「日本人が知らない中国ネットトレンド2014 」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち 」など。

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