海外コメンタリー

人工知能「IBM Watson」は何に使われているのか?

Conner Forrest (TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎 2015年09月30日 06時00分

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 「IBM Watson」がスーパーコンピュータか、認知計算システムか、単なる質問回答マッチングシステムかはさておき、これはおそらく現在実際に利用されている中でもっとも有名な人工知能だろう。

 Watsonは米国のクイズ番組「Jeopardy!」の回答者やホームシェフといった、やや卑近な使われ方で有名だが、実際にはさまざまな業界で非常に多くの実用的なアプリケーションに利用されている。

 この記事では、Watsonが成果を上げつつある、タイプの異なる5つの事例を紹介したい。

1.医療

 医療分野は、Watsonが大きな成果を上げる可能性が高い分野だ。まずWatsonは、米国のがん治療で有名な3つの病院(メモリアルスローンケタリングがんセンター、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター、メイヨークリニック)でがん研究や治療の補助に使われている。がん研究の領域では、Watosonはがん患者のDNA分析の速度を上げ、治療をより効果的なものにするために利用されている。

 外科医はWatsonを診断の補助に利用している。「schEMA」と呼ばれる皮膚科医療アプリケーションは、医者が患者のデータを入力できるようになっており、自然言語処理機能を使用して、可能性のある症状と処置を特定するのを助ける。さらに、Watsonは視覚認識によって、医者がレントゲン写真やMRIなどのスキャンデータを読み取り、潜在的な病気を絞り込む作業を支援している。

 また、Watsonは獣医学の分野でも利用されている。

2.金融

 金融業界では、Watsonの質疑応答機能が主に利用されることが多い。またWatsonは、単に質問に回答するだけでなく、それらの質問を分析することで、財務見通しを得たり、金融リスクの管理を支援したりすることができる。

 オーストラリアでは、ANZ Global Wealthが後者のためにWatsonを使用している。同社は顧客の質問の観察と処理に、自然言語処理SaaSである「Watson Engagement Advisor Tool」を使用している。同様に、シンガポールの銀行DPSでも、Watsonを使用して同社の資産管理事業の顧客が適切なアドバイスや体験を受けられるようにしている。

3.法務

 法務に関しては、大抵の人が答えよりも多くの質問を持っているはずだ。ROSS Intelligence Inc.などのスタートアップ企業は、Watsonを利用して、法律に関する差し迫った質問への回答をより簡単に得られるようしている。

 ROSSのウェブサイトによれば、ユーザーが英語で質問をすると、このアプリはWatsonの自然言語処理機能を利用してその質問を理解し、データベース全体を検索して、関連する法令の条文と共に回答文を引用して返すようになっている。ROSSには、関連法令に改正がないかを監視し、改正が生じた場合は警告を送る機能もある。

 シンガポールの内国歳入庁も、法律上の質問に回答するためにWatsonを使っており、利用者からの税金に関する質問に回答させている。

4.小売

 現代のオンライン小売店でもっとも重要なのは、個人に合わせた体験を提供することだ。「Natural Selection」はSellpointsが作成したアプリで、Watsonの自然言語処理機能を利用して、購入サイクルのもっとも適切な場面で顧客に製品を提示する。これは、オンライン小売店でコンバージョンに至るまでのクリック数を減らすのに役立つ。

 Watsonはオンライン旅行代理店でも利用されている。旅行代理店のWayBlazerが作った「Discovery Engine」は、Watsonを利用してデータの取り込みと分析を行い、オプションツアーの提案や、個々の顧客の嗜好に合わせたカスタマイズを行っている。

5.ファンタジーフットボール

 ファンタジーフットボールは、NFLの全選手から好きな選手を選んで仮想チームを編成し、その選手が実際の試合で上げた成績に応じて加算されるポイントを競う遊びだ。IBM Watsonの利用事例としては不思議に思えるかも知れないが、仮想スポーツでは利用できるデータが大量にある。Edge Up Sportsは、ファンタジーフットボールのファンがシーズン中にチーム編成を行うのを支援するためのプラットフォームを持っており、Watsonを使用してNFLのデータを分析している。分析対象のデータは、チームに関するニュースや、個々の選手のツイートなどだ。このシステムは、WatsonのAPIと「IBM Watson Personality Insights」を利用して、ファンタジースポーツのためのデータ分析を合理化している。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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