海外コメンタリー

Linuxベースのスイッチ用OS「Azure Cloud Switch」に取り組むMS--SDN分野で飛躍へ

Janakiram MSV (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2015-10-05 06:30

 Microsoftは9月、オープンソースのデータセンターネットワーキングOS「Azure Cloud Switch」(ACS)の概要を紹介したが、これにより、ソフトウェア定義ネットワーキング(SDN)の分野で大きく飛躍しようとしている。LinuxベースのACSは、世界最大のプロプライエタリソフトウェア企業であるMicrosoftがオープンソースのSDN分野に正式に参入したことを示している。

MicrosoftのCEO Satya Nadella氏
MicrosoftのCEO Satya Nadella氏
提供:James Martin/CNET

Microsoftと「Open Compute Project」

 Open Compute Project(OCP)は、データセンターコンポーネントの設計とアーキテクチャを共有するためのコミュニティで、Facebookが2011年4月に立ち上げた。OCPの創設メンバーには、MicrosoftやApple、Rackspace、Cisco、Juniper Networks、Goldman Sachs、Fidelity、Bank of Americaなどが名を連ねている。Microsoftは2014年にOCPに参加し、「Open CloudServer」(OCS)の取り組みに協力している。同じくIntelやMellanox、Seagate、Geist、DeltaもOCSへの支援を表明している。それ以来、MicrosoftはOCPに積極的に参加し、貢献してきたが、その最新のものがACSだ。

ACSとは

 Azure NetworkingのプリンシパルアーキテクトKamala Subramaniam氏によると、ACSは「Linuxをベースに構築されたデータセンターネットワーキング向けのクロスプラットフォームのモジュール型OS」だという。「ACSで、これまでよりはるかに速くソフトウェアバグのデバッグや修復、テストを行えるようになる。またACSは、ソフトウェアを縮小し、ユーザーのデータセンターとネットワーキングが必要とする機能を開発する柔軟性をもたらす」(Subramaniam氏)

 つまりMicrosoftは、さまざまなベンダーのルータやスイッチなど、本質的に異なるネットワーキング機器群に対応できるLinuxベースのネットワーキングOSを構築しようとしている。従来のスイッチソフトウェアは、さまざまなユースケースが想定される広範な顧客ベースに対応する必要があるため汎用的である、とSubramaniam氏は説明する。

 Microsoftは大規模なデータセンターや「Azure」クラウドプラットフォーム運用の経験と知見を考慮しながら、ソフトウェアスイッチへの構築に従来と異なるアプローチを採用した。ACSはモジュール式で軽量かつ高性能なので、開発者は効率的なネットワーキングソフトウェアを提供しやすくなる。

 Microsoftの製品はインターフェースの使いやすさや、複雑なサーバ側のオペレーションの管理のしやすさなどでも知られている。ほかのオープンソースのスイッチソフトウェアと異なり、ACSには、「System Center Operations Manager」など既存の監視および管理ソフトウェアと統合するGUIツール群が含まれる。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

  5. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]