Microsoftは9月、オープンソースのデータセンターネットワーキングOS「Azure Cloud Switch」(ACS)の概要を紹介したが、これにより、ソフトウェア定義ネットワーキング(SDN)の分野で大きく飛躍しようとしている。LinuxベースのACSは、世界最大のプロプライエタリソフトウェア企業であるMicrosoftがオープンソースのSDN分野に正式に参入したことを示している。
MicrosoftのCEO Satya Nadella氏
提供:James Martin/CNET
Microsoftと「Open Compute Project」
Open Compute Project(OCP)は、データセンターコンポーネントの設計とアーキテクチャを共有するためのコミュニティで、Facebookが2011年4月に立ち上げた。OCPの創設メンバーには、MicrosoftやApple、Rackspace、Cisco、Juniper Networks、Goldman Sachs、Fidelity、Bank of Americaなどが名を連ねている。Microsoftは2014年にOCPに参加し、「Open CloudServer」(OCS)の取り組みに協力している。同じくIntelやMellanox、Seagate、Geist、DeltaもOCSへの支援を表明している。それ以来、MicrosoftはOCPに積極的に参加し、貢献してきたが、その最新のものがACSだ。
ACSとは
Azure NetworkingのプリンシパルアーキテクトKamala Subramaniam氏によると、ACSは「Linuxをベースに構築されたデータセンターネットワーキング向けのクロスプラットフォームのモジュール型OS」だという。「ACSで、これまでよりはるかに速くソフトウェアバグのデバッグや修復、テストを行えるようになる。またACSは、ソフトウェアを縮小し、ユーザーのデータセンターとネットワーキングが必要とする機能を開発する柔軟性をもたらす」(Subramaniam氏)
つまりMicrosoftは、さまざまなベンダーのルータやスイッチなど、本質的に異なるネットワーキング機器群に対応できるLinuxベースのネットワーキングOSを構築しようとしている。従来のスイッチソフトウェアは、さまざまなユースケースが想定される広範な顧客ベースに対応する必要があるため汎用的である、とSubramaniam氏は説明する。
Microsoftは大規模なデータセンターや「Azure」クラウドプラットフォーム運用の経験と知見を考慮しながら、ソフトウェアスイッチへの構築に従来と異なるアプローチを採用した。ACSはモジュール式で軽量かつ高性能なので、開発者は効率的なネットワーキングソフトウェアを提供しやすくなる。
Microsoftの製品はインターフェースの使いやすさや、複雑なサーバ側のオペレーションの管理のしやすさなどでも知られている。ほかのオープンソースのスイッチソフトウェアと異なり、ACSには、「System Center Operations Manager」など既存の監視および管理ソフトウェアと統合するGUIツール群が含まれる。