ACSを支える技術
ACSを支えているのは、「Switch Abstraction Interface」(SAI)と呼ばれる抽象化レイヤで、さまざまなハードウェア実装の違いを隠す役割を果たす。
SAIは特定用途向け集積回路(ASIC)をプログラムするためのC言語向けAPIだ。その基盤をなす根本的な考えは、標準化されたAPIを通して、開発者がさまざまなチップをプログラムできるようにすることだ。2015年3月に紹介されたSAIは、標準APIとしてOCPに正式に認められた。SAIはいわば接着剤の役目を果たし、ハードウェアをソフトウェアインターフェースから分離させる。
Microsoftのほかに、DellやMellanox、Big Switch NetworksもSAIに寄与している。
SDN標準化のライバル
SDNの標準化に取り組む業界コンソーシアムは、OCPだけではない。The Linux Foundationは2013年4月に「OpenDaylight Platform」(ODL)を発表している。ODLは、SDNとネットワーク機能仮想化(NFV)の分野の研究開発を推し進めることを目的として発足された。興味深いことに、CiscoやCitrix、Ericsson、Hewlett-Packard(HP)、IBM、Juniper Networks、Red Hat、VMwareなどとともに、Microsoftも創設メンバーに名を連ねている。このプロジェクトの大きな成果が、SDNを実現するための標準規格「OpenFlow」に関するものだ。主要な「OpenStack」ディストリビューションはネットワーキングスタックの一部としてOpenFlowを統合した。
将来有望なSDN
ネットワーキングの未来はソフトウェアにある。コンピューティングとストレージ仮想化の恩恵を得た今、業界はSDNに注力している。VMwareは「NSX」に大規模な投資を行っている。NSXは、同社がNiciraの買収を通して手に入れた技術だ。MicrosoftはACSとSAIを通して、SDNへの取り組みの成果をOCPに捧げる道を選んだ。CiscoやJuniper Networks、Alcatel-Lucentなど主要なネットワーキングベンダーは、SDNベースの研究開発に大規模な投資を行っている。
Microsoftはかつてオープンソースのライバル製品に対抗意識を持っていたことで知られていたが、ACSは同社がもはやそのような企業ではないことを示している。それはまさに歓迎すべき変化である。
Azure Cloud Switch
提供:Microsoft
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。