EMCはITインフラの改革で世界各地の企業を支援するとともに、VMwareやRSA、VCE、Pivotalといった、業界における多数の企業と協力し、自らの立場を強固なものにしてきている。
しかし、他の企業を支援しているからといって、同社が市場における競争や自社の変革と無縁というわけではない。
実際のところ、EMCのIT担当シニアバイスプレジデントJon Peirce氏が米ZDNetに語ったところによると、テクノロジ企業と言えるEMCであっても、コスト管理やサービス品質、弾力性、アジリティ、セキュリティといった、業界内の同業他社が直面しているものと同じ難関を経験しているため、似たようなインフラ改革を推し進めてきているのだという。
同氏は「EMCはテクノロジ企業としての歴史のなかで幾度かの変革を遂げてきており、継続的な変革が自らのDNAに刻み込まれていると考えている」と述べた。
Peirce氏によると、同氏のチームは社内の他部門に対して義務と責任を負っている。それは、ITサービスプロバイダーとして自社に競争力をつけ、イノベーションを生み出し、競合他社よりも迅速に機会を収益化することだという。
実際のところ、同社のインフラ改革は2015年でちょうど10年目を迎える。この改革は3つのステージに分かれており、最初に根幹となるインフラ、その次に運用モデル、そして最も新しいところでは社内のデータやアプリケーションの見直しを実施している。
その結果、EMCは従来のインフラを置き換え、オンプレミス型のクラウド機能で構成された複数のデータセンター内にエンタープライズ規模のハイブリッドクラウドを構築した。
Peirce氏によると、EMCは企業連合を構成しているがゆえに、VMwareの「VMware vCloud Air」といった他社ベンダーのソリューションを活用できるのだという。なおvCloud Airは、企業のオンプレミス環境上に構築されたプライベートクラウドにオフプレミス機能を追加する製品だ。
同氏は「われわれはワークロードを適切な場所で実行するために、こういったソリューションを使用している。またわれわれは、Salesforce.comやServiceNowといった、自社クラウドでアプリケーションを提供している複数のSaaS企業の大口顧客ともなっている。このため、一部の業務はプロバイダーのクラウドから、また他の一部の業務はvCloud Air経由で自社のクラウドから、それ以外の業務はオンプレミス環境上のプライベートクラウドからといった、ハイブリッド形態でアプリケーションサービスを運用している」と述べた。