EMCジャパンは10月15日、東京・芝公園のザ・プリンス パークタワー東京で「EMC FORUM 2015」を開催した。
同イベントは、「REDEFINE.NEXT」をテーマに新たなデジタル時代の中で企業が競争優位を確立するための「IT」と「ビジネス」を新たに定義し、それを実現するソリューションを紹介することを狙っている。“第2のプラットフォーム”をベースとしたシステム基盤の効率化、コスト低減を促進するストレージを中心としたインフラだけにとどまらず、クラウド、ビッグデータ(アナリティクス)、モバイル、ソーシャル技術で構成する“第3のプラットフォーム”を活用し、ビジネスの成長を促進するためのソリューションも紹介するという。
EMCジャパン 代表取締役社長 大塚俊彦氏
EMC APJ担当プレジデント David Webster氏
午前9時40分からの基調講演では、代表取締役社長の大塚俊彦氏が登壇した。「まずお詫びをしなくてはならないのは、当初予定であった情報インフラストラクチャ部門のCEO(最高経営責任者)であるDavid Gouldenが来日できなくなったこと。理由はIT業界最大規模の買収案件によるものである」と説明した。
「DellとEMCが一緒になるという今回の発表は、2016年半ばに取引が完了する。両社には補完関係があり、新たなデジタル時代の幕開けに対応できる企業となる。そして、エンドトゥエンドのテクノロジカンパニーになる。EMCでは、広範で柔軟な選択肢を提供し、引き続きイノベーションを起こしていく。期待してほしい」(大塚氏)
続いて、アジア太平洋と日本地域(APJ)担当プレジデントのDavid Webster氏が講演。「今回のDellとEMCの発表は、IT業界の変化を示すものであり、多くのチャンスを与えるものである。そして、今後のビジネスの変革を促すものになる」と発言。「EMCが持つストレージやデータ保護、セキュリティ、モバイル管理、仮想化などといった技術と、サーバ市場でトップのDellがひとつになることで、ITを変革する企業になれる。Dellと一緒になることでそれを提供できることを、私も期待している」と語った。
基調講演でWebster氏は「EMC Federation:デジタルへの変革を導く」をテーマに同社の取り組みについて触れた。
Webster氏は、「2020年までに300億のデバイスがつながることになる。ここで大事なのはデータと情報である。われわれは情報世代であり、情報にすぐにアクセスすることができる。タクシーやレストランの予約、エアコンの操作もスマートデバイスから行うようになったり、クルマの自動運転ができたり、コンタクトレンズが血糖値を計ることができたりする。すべての業界がデジタル技術で破壊的な変化が起こることになる」と切り出した。
同氏は「3000人のCIO(最高情報責任者)を対象に調査したところ、新たなオポチュニティを予見すること、顧客の個別ニーズに応えること、アジャイルなイノベーションの実現、透明性と信頼性の実証、リアルタイムのオペレーションの実現といった5つが大切な要素に挙げられた」と解説した。
「この中で最も優先したいのが、新たなオポチュニティを予見することであり、62%に達している。だが、これが実現できている企業はわずか12%にとどまる、大きなギャップがある。これを埋めていくのがITである。ITは、革新をもたらすためのものであり、CIOの役割は、インフラや可用性を提供するだけではなく、イノベーションを起こす役割を担うことである。業界のリーダーは、ビジネスモデルに破壊的な変革を起こそうとしている。それによって、顧客や企業が変わり、デジタル化、デジタルデザインで業界に大きな変化がもたらされている」(Webster氏)
CIOの62%が新しいオポチュニティを予見することを優先したいという
Webster氏は続けて「CIOにとっては、頭の痛い問題がある。それは、2つのことを一度にやらなくてはならないということだ。CIOに求められているのは、新たなビジネスへの支援を行うと同時に、コストを削減しなくてはならないということ」と現在のCIOを取り巻く環境に触れた。
「CIOから昨年より大きなIT投資予算をもらったという話を私は聞いたことがない。それでいながら、企業をリスクにさらさない形で新たなビジネスを支援しなくてはならない。現在のITは、2つのモードが同時に進んでいる。これまでのような効果的なITを求める一方、破壊的なものが求められている。これらは、それぞれに人種も性格も違う人たちによって求められている。賢いCIOは、この2つのモードを使い分けている」(Webster氏)