EMCのインフラを完全にクラウド内に移行することを検討しているかどうかをPeirce氏に尋ねてみたところ、そうした検討は今後、すべてのレガシーアプリケーションがクラウドに見合ったものになってからになるという答えが返ってきた。
「われわれのアプリケーションの一部、特にレガシーアプリケーションについて言えることだが、すべてのアプリケーションがクラウドを考慮して開発されているわけではない。このため、こうしたアプリケーションのほとんどには(クラウドにまつわる修正)を実施していない。しかし、いつかはクラウド向けに開発したアプリケーションでレガシーアプリケーションを置き換える日がやって来るだろう。その時にわれわれは、ハイブリッドクラウドの能力をさらに引き出せるような状況にあるはずだ」(Peirce氏)
しかし最近では、EMCとVMwareの関係が今までとは違った方向に向かうのではないかという観測もある。Peirce氏はEMCのインフラがVMwareのvCloud Air上に構築されている一方で、同社は今後発生し得る変化に対応できる位置につけていると改めて明言した。
同氏は「この企業連合によって、今までよりもずっと容易にオンプレミスとオフプレミス双方の能力をより緊密かつシームレスなかたちで引き出せるようになる。さまざまなプロバイダーと組んでオンプレミスのプライベートクラウドとオフプレミスの連携をしようとしても、シンプルでシームレスなものにはならない」と述べるとともに「企業連合のコンシューマーという立場から見た場合、このレベルでの統合によって大きな支援がもたらされる」と述べた。
またPeirce氏は、変革のプロセスは順風満帆というわけではなく、最大の難関は変革の管理だったと明らかにした。
「多くの過ちをおかした最大の難関は、人が絡む部分だった。『IT部門の体に刻み込まれている記憶の変革』とわたしが呼んでいる文化の変革は困難を極めた」(Peirce氏)
同氏は「人々の動機は千差万別だ。ある種の人々は機会が、またある種の人々は恐れが、そしてその他の人々はそれら2つの組み合わせが動機になる。変革が必要だという認識は誰もが抱いているといっても、自らやりたいと思う人はいない。結局のところ最大の難関は、人々の考え方や振る舞い、そして体に刻み込まれている記憶を変革することだった」と述べた。