日立は、10月21日、「M2Mトラフィックソリューション」のラインアップを拡充すると発表した。M2M向けシステム基盤を容易に構築できるようにするもので、ゲートウェイ装置などのM2M機器と、収集データの管理と機器を一元的に制御するクラウド環境を提供する。
導入に向けたコンサルティングから、システム設計、ネットワークの構築、クラウドサービスの運用・保守、さらには業務アプリケーションとの連携など、各種サービスが含まれる。
今回拡充されたのは、モバイルネットワークを利用して、車内や屋外、移動先から、各種カメラの映像や画像などの大容量ファイルを高速データ転送できる「大容量ファイル転送サービス」。同サービスは10月22日から販売開始する。サービス提供開始は12月25日からで、価格は個別見積り。
大容量ファイル転送サービスは、高速通信のLTE通信や車載対応のゲートウェイ装置をラインアップに追加し、移動先から、または移動中でも現場の大容量データの安定的な送信が可能となる。
同サービスの活用例として、日立では、大気の状況を観測する環境測定車などが、取得した測定データに位置情報を加えて移動しながら転送し、リアルタイムにエリアの測定状況を更新するといったものや、山間部や離島などにおいて医療検診車によるX線撮影を行う場合、画像データをDVDなど外部媒体を活用して施設に持ち帰ることなく、自動転送によりすぐに施設で診断を開始するなどのシーンを挙げている。
サービスの概要図(日立提供)
同サービスのゲートウェイ装置には、LTE通信機能と日立独自の高速ファイル転送技術「Hitachi WAN Optimizer」を搭載しており、安定的に大容量ファイルの高速転送が可能となる。
「Hitachi WAN Optimizer」は、日立独自のアルゴリズムにより、WANにおけるパケットロスを測定、その空き帯域をリアルタイムに推定しながら、流すべきデータ通信量を決定し、WANの物理帯域を最大限に活用できる技術。
また、今回のサービス開始にあわせ、高温、多湿、紫外線、振動といったさまざまな外部環境へ対応できるようにしている。さらに大容量ファイル転送サービスはマルチキャリア対応のため、システムごとに異なるデータの種類やサイズ、転送頻度などに応じて、通信事業者が提供するモバイル通信サービスの料金プランの中から最適なものを選択できる。