米国時間11月1日、Linux 4.3がリリースされた。Phoronixの記事によると、NVIDIAグラフィックス用のオープンソースドライバNouveauが刷新され、Intelの「Skylake」プロセッサのサポートが強化されたという。
Linuxカーネルの作者であるLinus Torvalds氏は、Linux 4.3のリリースにあたり、今回は「比較的穏やかな」リリースサイクルだったと語ったが、同氏はその直前に、カーネルコードの一部について、こういった間違いは避けるべきだと侮辱的な表現を使って開発者を強く非難していた。
2015年の10月は、韓国で開催された「Linux Kernel Summit」や、米国時間11月2日に控えていたLinux 4.3の一般リリースなどのため、Torvalds氏にとって忙しい時期だった。
同氏はLinux 4.3のリリースに際し、メーリングリストで、「(リリース候補版に取り組んでいた)先週は非常に忙しいものに感じられ、リリースできるかどうか心配になるほどだった。しかし実際の数字を整理した結果は、それは自分の主観的な感触に過ぎないことを示している。おそらくそう感じた理由は、Kernel Summitや韓国から戻るための移動のためだ」と述べている。
しかし同氏は、そのサミットの最終日に、リリース候補版で発見した一部のコードに対して怒りを爆発させていた。Torvalds氏は暴言を吐くことでよく知られている。
同氏は侮辱的な言葉を使って、使用された手法が悪質なコードの原因になっているとし、担当した開発者は無能だと非難した。
Torvalds氏の指摘を受けた開発者は、より単純な手法を見つけられたかも知れないと認めながらも、その手法を選択した理由を説明している。その開発者の書き方からは、Torvalds氏の批判を個人的な侮辱だとは考えていないように見える。
2015年10月には、カーネルコミュニティの個人に対する敬意の欠如は耐えがたいとして、Sarah Sharp氏がLinuxカーネル開発者のプロジェクトを離れたことが話題になった。
Sharp氏はかねてから、LinuxメーリングリストでのTorvalds氏の暴言について批判していた。これに対しTorvalds氏は、同氏のコミュニケーションスタイルは、コミュニティが「偽りの礼儀正しさ」に毒されるのを防いでいると述べている。
今回の暴言にも関わらず、Torvalds氏は最終リリース版について、Linux 4.3は「最後まで比較的穏やかなリリースサイクルだった」とした。同氏は、最後のリリース候補版で加えられた修正内容は、主にネットワークコンポーネントに関連するものだったと説明している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。