組み込み用途のOSを手がけるウインドリバーは11月4日、今後成長が見込まれるIoT(Internet of Things)市場に向けて、OSのラインアップを拡張したと発表した。
新たに、マイコン(MCU)を搭載したIoTセンサ向けに最小実装サイズを4Kバイトとした「Wind River Rocket」と、LinuxをベースにIoTデバイス向けに軽量化した「Wind River Pulsar Linux」の2つを用意した。いずれも無償で利用できる。これに合わせて、IoTデバイスの開発、検証、デプロイ機能をクラウド上で提供する新サービス「Wind River Helix」も用意した。
米Wind Riverが用意している組み込み用途向けOSのラインアップ。新たにIoTセンサ、デバイス向けに2つの新OS(RocketとPulsar Linux)を用意した
IoT向け新OSの提供に合わせてアプリケーション開発、検証、デプロイ用のクラウドサービスも用意した
会見では、米Wind Riverでプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントを務めるDinyar Dastoor氏が、北米オフィスから中継で説明した。IoT市場の成長に合わせてIoTセンサやデバイスが急増する中で、IoTデバイスの開発やカスタマイズの作業を、IoT向けの新OSとクラウドサービスで支援するという。
想定ユーザーも広く構え、デバイスの製造メーカーだけでなく、デバイスを利用した製品サービスを構築するインテグレーターや、デバイスをカスタマイズして使うユーザー企業も対象とする。
同社はこれまで、組み込み用途向けのLinux OS「Wind River Linux」や、組み込み用途向けのリアルタイムOS「VxWorks」をラインアップしてきた。今回新たに、VxWorksよりも小型軽量となるRocketをIoTセンサ開発向けに、Wind River Linuxよりも小型軽量となるPulsar LinuxをIoTゲートウエイやデバイス向けに、それぞれ用意した。
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新OSの1つ、Rocketの最小実装サイズは4Kバイトで、VxWorksの200Kバイトよりも小さい。Rocketが動作するプラットフォームは、米Intelや米ARMのMCU(32ビット)を搭載したシングルボード型のコンピュータ。11月4日時点では、x86ベースのIntel Galileoで動作する。来週には米Freescale Semiconductorの「Freedom」でも動作し、その後は製造業で人気が高い「Raspberry Pi」など、さまざまなシングルボード型のコンピュータで動作するようになる。
もう1つの新OS、Pulsar Linuxの最小実装サイズは300Mバイトで、ベースとなるWind River Linuxの700Mバイトよりも小さい。Pulsar Linuxが動作するプラットフォームは、x86やARMを搭載したボード型コンピュータ。
米IntelのMinnowBoard MAXや、米AvnetのMicroZedなどで動作する。Pulsar LinuxはWind River Linuxから重要な部分だけを抽出したサブセットであり、コンパイル済みのバイナリとして提供する。Linuxコンテナーを利用可能で、コンテナー型のアプリケーションをデプロイすれば、これをPulsar Linux上で実行できる。
2つの新OSに合わせて、アプリケーションの開発、検証、デプロイのためのクラウドサービスも用意した。
- Helix App Cloudは、IoTデバイス上で動作するアプリケーションの開発環境をクラウド上で提供する。ウェブブラウザベースで利用できる
- Helix Lab Cloudは、IoTデバイス向けに開発したアプリケーションの検証環境をクラウド上で提供する。クラウド上に用意したシミュレーション環境を利用できる
- Helix Device Cloudは、IoTデバイスの実機を管理し、実機にアプリケーションをデプロイする仕組みをクラウド上で提供する