続いて登壇したMicrosoft IoTテクニカルセールス担当ゼネラルマネージャーのCarl Coken(カール・コーケン)氏は、Windows 10 IoTエディションの具体的な構成について説明を行った。
Windows 10 IoT Enterpriseはレガシー(Win32)アプリにも対応し、POS端末やシンクライアントなどのデバイス向け。同Mobile Enterpriseは高度なデバイスロックダウン機能やマルチユーザーをサポートし、ヘルスケア分野や配送業対象の持ち歩くミニデバイス向け。同Core/Core ProはIntelやARMプロセッサで動作し、ハードウェアリソースも必要最小限で済むスマートビルやIoTゲートウェイ向けだという。

MicrosoftのCarl Coken氏

Windows 10 IoTエディションの比較
Coken氏はUWPの利点として「同じコードや開発スキルの再活用を可能にし、開発したアプリケーションもあらゆるデバイスで活用できるため、ROI(投資利益率)も向上する」と、UWPの利点を強調。さらにユニバーサルWindowsアプリと同じく、共通かつ一貫性のあるコードですべてのWindows 10デバイスに対応する「UWD(ユニバーサルWindowsドライバ)」についても紹介した。
Coken氏は「(UWPと)同じコンセプトで開発した。何十万にもおよぶ既存のデバイスドライバを検証し、あらゆるデバイスの開発を可能にしている」という。そもそもUWDはUWPの一部であるDDD(デバイスドライバインターフェース)を呼び出し、ユーザーモードにとどまらずカーネルモード用のデバイスドライバ開発も可能にしている。各デバイスの差異を吸収する仕組みを設けることで、多様化の可能性を持つIoTデバイスへの対応を実現するのだろう。
今後さらに重要になるセキュリティに関しては、「Microsoft PassportやBitLocker、(ホワイトリスト型で使用可能なデバイスを限定する)Device Guardなど、エンタープライズレベルのセキュリティ機能を備えている」と説明した。さらに再起動によるシステムの復元や、USBデバイスの制限設定などシステム保護を行う「高度なロックダウン機能」をWindows Embeddedに引き続いてサポートするという。
管理面ではOpen Mobile Allianceが策定した「OMA-DM」に対応し、Windows 10 IoT搭載デバイスは、Microsoft Intuneやサードパーティ製MDMアプリケーションで管理可能になる。Coken氏は「Windows 10 IoTは既存のITインフラやプロセスと容易に統合でき、標準プロトコルを採用しているためクラウドとの親和性も高く、最終的にROIの向上につながる」と指摘した。
日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 IoTデバイス本部 本部長の菖蒲谷雄氏は、「業種によって異なるニーズがあるため、エコシステムの拡大やマッチングの機会を増やしていく」と同社が近年重要視してきた、異分野の企業との協業姿勢を改めて強調した。

日本マイクロソフトの菖蒲谷雄氏