2011年にIBMに買収されたCuramも、Watson Healthの傘下に移された。同社はもともと社会福祉事業向けのソフトウェアを作っていたが、Watson Healthの傘下では、社会的要因が医療に与える影響を扱っている。
「一般の人は、医者に会わずに普段の生活をしている時間が1年に5000時間ある。この5000時間に起こることは、健康と快適な暮らしに大きな影響を与える」とEbadollahi氏は言う。
これらの買収の背後にある動機は、Watson Healthの製品に、個人レベルから集団レベルまで、さまざまなレベルの健康データを扱う能力を与えることだ、と同氏は付け加えた。
また、その名前から受けるイメージとは異なるが、Watson Healthは医療業界以外にも目を向けている。2015年11月には、研究者が前臨床試験などの規制対象のワークロードをクラウドインフラで実行するための製品「IBM Watson Health Cloud for Life Sciences Compliance」を含む、新たな生命科学関連製品をリリースしている。
IBMは創薬や市販後のアナリティクスに加え、米国のドラッグストアチェーンCVS Healthとパートナーシップを結んで、医薬品業界にも打って出ようとしている。そのテーマは、医者に指示された治療をいかに患者に継続させるかというアドヒランスの問題だ。
「医者に通っていない人は、毎月平均で9回から10回ドラッグストアに行っている。そこに、アドヒランスなどの問題を解決するチャンスがある。CVS Healthと共同で取り組んでいる問題の1つが、アドヒランスの問題だ。薬剤師やリテールクリニックにいる人間が取り組んでいることの1つに、いかに顧客や患者に治療を継続させるかということがある。治療を継続しなければ、(医療団体が薬に払った)すべてのお金が無駄になり、しかも患者はよくならない。この問題は、生命科学のあらゆる場面に応用できる」(Ebadollahi氏)
設立から6カ月が経過した今、Watson Healthが抱えるもっとも大きな課題は、IBMの古い技術と新しい技術の両方を統合することだ。
「Watson Healthは、多くのパーツを持つ成長の早い組織だ。もっとも優先順位が高い課題は、すべての部品をまとめ上げ、新しい技術(コグニティブ技術や、研究部門が生み出した技術)を、買収によって得た技術と統合することだろう」と同氏は述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。