Appleの2015年は、表面的には素晴らしい1年だった。売上高は増大し、製品は飛ぶように売れ、顧客満足度も高い状態を維持している。
またAppleは、2014年の終わりに直面していた複数の課題にも果敢に立ち向かった。「iPhone 6」の発売後に出てきたサプライチェーンにまつわるいくつかの問題は、どうやら解決したようだし、「iOS」のアップデートもずっと簡単かつスムーズにできるようになり、かつてないほど多くの人々が「Mac」を購入している。
「iPhone」のような世界的に大成功した製品群を有し、大量の資金を保有している企業にどのような難問があるというのか、不思議に思っている人がいるかもしれない。本記事に目を通してもらえれば、その答えが見えてくるはずだ。
では、2016年にAppleが直面する3つの課題を以下に挙げてみよう。
iPhone以外の製品での成長
Appleは今や「iPhoneメーカー」と呼ぶのがふさわしいほど、この製品1つに依存している。
2012年時点では、Appleの売上高に占めるiPhoneの割合は46%だったが、2015年には63%にまで増加している。
さらに、Appleの直近の四半期における業績は、アナリストらが予想していた数値を下回った。これは今までになかったことだ。
iPhoneの販売は並外れて好調だが、それはAppleが新たな市場、特に中国を開拓したという理由が大きい。しかし、欲しいと思う人々の手にiPhoneが行き渡ってしまえばその勢いは一段落し、過去の歴史が示しているように、製品は誕生期から成長期、衰退期というライフサイクルをたどるものだ。そして、Appleは既に少なくとも2つの製品でこのサイクルを経験している。
では次に、四半期毎の販売台数推移をグラフで見ていこう。まずは「iPod」からだ。
そして以下は「iPad」のものだ。
誕生期と成長期、衰退期が見て取れるはずだ。
iPhoneはまだ成長期のようだが、上の2つのグラフが示す通り、Appleはこれまでに衰退期に入った製品の流れを変えることに成功したためしがない。そして、知らない人も多いかもしれないが、「iPhone 6s」は9世代目の製品となっている。
現在AppleはiPhoneだけで勝負しており、同社にはこれを置き換えられる製品群がない。iPadは既に衰退期に入っているように見受けられ、「Apple Watch」はアクセサリ程度のものでしかない。
うわさの「Apple Car」が「Next Big Thing」(次の大ブーム)になると考えている人もいるかもしれないが、それは難しいだろう。自動車業界は競争が激しく、政府の規制がそこかしこにある、言わば地雷原なのだ。Appleはテレビの計画を再び引っ張り出した方がよいかもしれない。