Microsoftのトップクラスの研究者らは、2016年が「技術革新の黄金時代」になり、人工知能(AI)分野で大幅な進歩がもたらされるとともに、人を陽気にさせるマシンすら登場するようになるだろうと考えている。
MicrosoftはAIに多大な投資を行っており、「Project Oxford」や「Cortana」、AIチャットボット「XiaoIce」などのイニシアティブを推し進めている。
こういった投資に目を向けると、今後の10年間で生み出されるすべてのものごと(人との会話から雇用、業界、科学的発見に至るまで)を変革するうえでの土台となるテクノロジが、2016年に転換点を迎えるとMicrosoftの研究者らが考えているのも不思議はないはずだ。
Microsoft Research NExTのエンジニアであるLili Cheng氏によると、2016年には「コンピュータや携帯電話、われわれの記憶、人間関係についての考え方を根底から揺るがす」ような、機械によって支援された才知が人にもたらされるだろうという。
「オンライン上の会話は、人を陽気にさせたり、生産性の向上を支援する会話アシスタントが介在したりするものになっていくだろう」(Cheng氏)
「オンライン上の会話は、人を陽気にさせたり、生産性の向上を支援する会話アシスタントが介在したりするものになっていくだろう」(Lili Cheng氏)
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それとは逆に、機械が人を支援するのではなく、人が機械を支援するようになるかもしれない。Microsoft Research Asia所長の洪小文氏は、AIと「人の協力」を組み合わせたパーソナルアシスタントサービスが普及すると見込んでいる。
Microsoft Research Redmond LabのEric Horvitz氏は、機械との対話でなめらかなやり取りを実現する技術が進歩することで、コンピュータやスマートフォンとの自然言語での会話が増えていくと予想している。
「パーソナルアシスタントは、ユーザーの抱えているタスクや、誰かとの約束といった、日々の重要な出来事を理解できるようになるため、本当に役立つものとなる」(Horvitz氏)
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Microsoft Researchの主任研究者であるKate Crawford氏によると、MicrosoftのXiaoIceのようなAIエージェントが、将来的には人と同じ役割を果たせるようになるため、「医者や弁護士、セラピストに期待されるものと同じ倫理的、そして法的な関係を樹立する必要がある」という。
次に、Human Computer Interaction(HCI)分野に目を向けると、2016年はスタイラスの年ともなるだろう。Microsoft Researchの主任研究者であるBill Buxton氏によると、スタイラスは「われわれがデジタル機器とやり取りするさまざまな手段のなかで、幅広くサポートされるようになり、相応の地位を獲得するようになる」という。
さらに、セキュリティ分野に目を向けてみよう。Microsoft Researchのセキュリティおよび暗号学担当ディレクターであるBrian LaMacchia氏によると、2016年の重要な技術革新として、量子コンピュータを利用した攻撃にも耐えられる暗号化ウェブ接続が実証されるだろうという。
Microsoft Research IndiaのSriram Rajamani氏は、甚大な被害をもたらした最近のハッキング事件や、ハッカーが既存の防御対策を比較的容易にう回できるという状況にもかかわらず、ハッカーの侵入を許さないハードウェアが登場するだろうという楽観的な見解を持ち続けている。
同氏は、IntelのSoftware Guard Extensions(SGX)を例に挙げ、「OSやその他のインフラといったものがハッカーの侵入を許した場合でも、セキュリティを保証する新世代のシステムソリューションが登場するだろう」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。