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プロジェクトを「丸投げ」できない理由(後編)--企業とSIの理想の関係 - (page 2)

小室貴史(シグマクシス)

2016-01-21 07:00

PMOは「第三者」が良い理由

 ここで改めて、なぜPMOが「第三者」である必要があるのか整理してみよう。

「鷹の眼」で見渡し、リスクの芽を顕在化する前に摘むことに専念できる

 よいPMOとは、「仕切りが上手いプロジェクト事務局」のことではない。ほとんどの時間を、プロジェクトの失敗リスクを低減させるための目配りと細かい施策の実行に費やす泥臭い仕事だ。

 対象となるプロジェクトにおいてどのような作成物(成果物)を、どの範囲、どの深さ(品質)でいつ作るべきかを適切に判断する能力を備え、それを発揮し続けることが求められる。さらに業務およびシステム要件の定義内容を正しく評価し、その後の品質管理を着実に継続しなければならないタフな仕事である。

 品質管理の必要性については、ことあるごとにユーザー企業もSIも唱えるが、問題が起きてから繰り広げられる社内レビューは「品質管理」とは言わない。特に、プロジェクトのステークホルダーが多くなるほど、「コトの後でのレビュー」は、各自が自社を守る場に転じるケースも多く、結果としてユーザー企業にとって正しい結果につながるかどうかというと、大いに疑問が残る。

 プロジェクトの成功のためには、顕在化する前のリスクの芽をつぶすことが何より大切だ。プロジェクトに参画するSIにとってもこれは決して悪いことではなく、うまくPMOと協力することで、プロジェクトのリスクを早期に把握し、コントロールすることも可能となる。特に、複数のベンダーが絡むプロジェクトでは、第三者がその立場にいてくれることによって、各社は自らが担当する領域の品質とスピード向上に専念することができる、というメリットもある。

SIには言いにくいユーザー企業への提言が可能

 プロジェクトは「ワンチーム」が理想だ。プロジェクトで協働するユーザー企業とSIが、友好的かつ対等の関係であることが望ましい。だが、頭では分かっていても、それは「発注者」と「受注者」という関係性であるがゆえに非常に難しいことでもある。

 どんなプロジェクトであっても、トラブルの起きないプロジェクトはないし、コントロール不能な外部環境の要因で予想外の展開になることもある。

 大事なのはそのリスクをいかに低減し、トラブルが発生したとしてもできるだけ早期に正しく解決することなのだが、例えばSIが作業遅延や品質問題を起こすと、発注者であるユーザー企業に対してSIが圧倒的に弱い立場に置かれるのが普通だ。

 仮に、そのトラブルの原因がユーザー企業側にあったとしても、である。ここで問題の根っこをSIが指摘することは、わかっていたとしても心情的に難しく、このちょっとした齟齬の積み重ねがプロジェクトの終盤に大問題となって爆発することも少なくない。結果としてユーザー企業もSIも幸せにはなれない。

 第三者のPMOであれば、双方の状況を的確に判断し、客観的な目線でユーザー企業とSIの間に入り、双方の役割分担と作業をコントロールすることができる。

 繰り返しになるが、問題が顕在化してからレビューを繰り返してもプロジェクトで失われた時間とコストは取り返せないし、品質を取り戻すために要するエネルギーは莫大なものになる。リスクの芽を摘みながら着実にプロジェクトを進行させるためには、ただユーザー企業側に立つのではなく、企業とSIも含めた全体に目配りをできる存在が必要なのである。

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