ロシアのセキュリティ企業Kaspersky Labが、マルチメディアコンテンツの表示に使われる「Silverlight」に危険なゼロデイ脆弱性があることを発見した。多数のユーザーがリスクにさらされる恐れがある。
同社は現地時間1月13日付けのブログ記事で、この脆弱性が悪用されると、感染したコンピュータへのアクセス権が掌握され、悪意あるコードを実行して秘密情報を窃取したり、監視したり、大規模な問題を引き起こしたりするなどの活動が可能になる恐れがあるとしている。
SilverlightはMicrosoftが開発したウェブアプリケーションフレームワークで、ウェブ上で情報量の多いコンテンツの表示をサポートする。世界中の多数のPCユーザーによって、さまざまなOSで利用されている。Silverlightにセキュリティ上の不具合が報告されるのは珍しいが、脆弱性が存在した場合は深刻な影響を及ぼす恐れがある。
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今回の脆弱性「CVE-2016-0034」が発見されたきっかけは、エクスプロイトや監視ツールを販売するHacking Teamとエクスプロイト作成者のVitaliy Toropov氏とのつながりをArs Technicaが報じたことだ。
Hacking Teamが2015年にデータを窃取された際に公開されたファイルは、Toropov氏がSilverlightのゼロデイ脆弱性をHacking Teamに売却しようとしていたことを示していた。
4年前から存在していたこの脆弱性はHacking Teamの関心を引くことはなかったかもしれないが、Kasperskyの目にとまった。
Kasperskyによると、調査の結果、Toropov氏は脆弱性に関する情報を誰もが投稿可能なOpen Source Vulnerability Database(OSVDB)に、極めて頻繁に投稿していたことが分かった。2013年には、Silverlight技術のバグについて説明した概念実証(POC)を公開していたという。
Kasperskyはこうした情報の分析を通して、いくつかの非常に目立つ珍しい文字列をコード中に見つけ、それを同社の検知技術用にサンプルとして利用し、この脆弱性を利用した攻撃の痕跡をウェブ上で探したとしている。
「Toropov氏がHacking Teamにゼロデイエクスプロイトを売却しようとしていたのであれば、他のスパイウェアベンダーにも売ろうと試みる可能性が非常に高かった」と同社は述べ、「そのような行為の結果、他のサイバースパイ行為でも、疑いを持たない犠牲者を狙って感染させるために、この脆弱性が利用される可能性があった」としている。
ついに、あるカスペルスキー製品ユーザーが標的となった攻撃で、同社が探していた特徴を持つ不審なファイルの使用が認められた。同社がこの攻撃を分析したところ、実際にSilverlightの未知のバグを悪用したことが判明したため、すぐにMicrosoftに報告し、検証を依頼したという。
脆弱性CVE-2016-0034はMicrosoftが米国時間1月12日に公開した最新の月例パッチで修正されている。「Windows」ユーザーは早急にシステムをアップデートすることが推奨される。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。