UPDATE IBMは、ライブストリーミング企業Ustreamを買収したことを認めた。動画が今後、企業にとって有益なマーケティング資産やデータ資産になることを見越した動きと言える。
買収条件は明らかにされなかったが、発表に先駆けてFortuneは買収金額を現金約1億3000万ドルと報じていた。
Ustreamは、Amazonの「Twitch」にとっての競合から、最新のブロードキャスト技術プロバイダーにとっての可能性を秘めたコラボレーションツールまで、あらゆるものとして名前が挙がる。ただし、Ustreamのサービスは、米航空宇宙局(NASA)、サムスン、NIKE、Discoveryなどの顧客とB2Bの関係も築いている。
IBMにとって、Ustreamの買収はごく当然のことだ。IBMはクラウド動画サービスを完成させた上で、Ustreamブロードキャストのコンテンツをきっかけにしてマーケティングおよびアナリティクスサービスを売り込む必要があった。Ustreamはさらに、IBMの知的財産と一連の買収企業を統合したIBM Cloud Video Services部門にも加わる。
IBMでグローバルテレコミュニケーションズおよびメディアプラクティス担当ゼネラルマネージャーを務めるSteve Canepa氏によると、Ustreamはマーケティングプラットフォームからクラウドや開発者に至るまで、すべてを手がけるという。同氏は次のように述べた。「動画は第一級のデータタイプになりつつあり、アプリケーションアーキテクチャを根底から変えつつある。動画は業務アプリケーションにシームレスに統合されなければならない」
次に明白な疑問は、Ustreamがエンタープライズ資産かどうかという点だ。Canepa氏は、このツールも当てはまるとして次のように述べた。
B2BやB2Cであろうと、B2E(企業と従業員)であろうと、優れた体験を生み出すために提供する必要のある機能は共通している。
IBMは、レガシー部門に代わって成長事業への移行を進める中、この1年間厳しい状況にあった。Ustreamの買収はそうしたことを受けて実現している。UstreamはIBMのクラウド戦略に組み込まれる。IBMの戦略的インペラティブであるクラウド、モバイル、セキュリティ、アナリティクスなどの分野は現在、同社売上高の35%を占めている。JMP SecuritiesのアナリストGreg McDowell氏によると、統計値は「クラウドやアナリティクスへの投資が利益を生み出しつつあるという明るい兆し」を示しているという。