“NoLinux”の売上比率を50%まで拡大する:レッドハット新社長の望月氏

羽野三千世 (編集部) 2016年01月28日 07時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 2015年11月26日付でレッドハットの代表取締役社長に就任した望月弘一氏。日本IBMの営業出身で、NTTが2010年に買収した南アフリカのIT大手Dimension Dataの日本法人 代表取締役社長を5年間務めた経験を持つ。Red Hatのコアコンピタンスである「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」の事業成長を維持しつつ、ミドルウェアやモバイルアプリケーションプラットフォームなど“NoLinux(OS以外)”のビジネスを強化していくとする。


レッドハット 代表取締役社長 望月弘一氏

--今現在、RHELとNoLinux製品群の売上比率はどのくらいなのでしょうか。

 国内では、売上全体に占めるRHEL事業の割合は7~8割くらいです。残り2割が「Red Hat CloudForms」などのクラウド管理製品、「JBoss xPaaS」などのミドルウェア、PaaS基盤の「OpenShift Enterprise」や「Red Hat Mobile Application Platform」などNoLinuxの売り上げです。

 今後数年間で、NoLinuxの売上比率を5割程度まで拡大したい。エンタープライズIT製品の市場全体を俯瞰したとき、OSが占める割合は25%。企業の成長のために、当社は市場の残り75%にチャレンジしなくてはいけません。

--NoLinuxの事業拡大に向けてどのような施策を講じますか。

 NoLinuxの事業拡大に向けては、国内の顧客に対して当社が直接価値を訴求できるよう、営業体制の強化を図ります。プリセールを中心に従業員を大幅増員し、国内の地域カバレッジを広げる計画です。これまで当社の営業先は首都圏に集中していましたが、既存の大阪と福岡の営業所を拡大し、名古屋にも営業所を新設します。

 また、業界カットでの営業強化にも取り組んでいきます。これまでも当社は業界ごとに営業チームを組織していましたが、人的リソースの配分などが国内の産業構造にいま一つ最適化されていない面がありました。これを改善します。また、業界の大きさだけでなく、オープンソースへのアダプタビリティがある公共、教育、ヘルスケア分野での営業を厚くしていきます。

--今後数年間、国内IT市場の成長率は0~2%程度と予想される中、RHELを継続成長させるための戦略は。

 NoLinuxは当社が直接価値を訴求していく方針ですが、RHELについては、パートナーとの協業を重視する戦略です。従来型のエンタープライズIT分野で築いてきたデル、IBM、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、日立、富士通、NEC、レノボ、シスコなどのハードウェアベンダーとの協業をこれまで以上に強化するとともに、パブリッククラウド分野でCCSP(認定クラウド&サービスプロバイダ)パートナーの拡大を図っていきます。

 CCSPの国内パートナーは現在40社。AWS、Microsoft、グーグル、NTTコミュニケーションズなどのパブリッククラウドベンダーと協業して、パートナーのクラウド上からRHELをサービスとして提供する事業を拡大します。

 例えば、2015年末にMicrosoftがAzure上でRHELをネイティブサポートすることを発表しましたが、国内では日本マイクロソフトが当社のCCSPパートナーとしてAzure上でのRHELの展開で協業していきます。従来型IT領域のサーバOSでは当社とマイクロソフトは競合になりますが、クラウド領域ではパートナーになります。

--レッドハットには、OpenStackやコンテナテクノロジのエンタープライズ導入拡大を牽引する役割が期待されています。

 まずOpenStackについて。当社は、RHEL上で動作するOpenStack商用ディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」を提供しています。OpenStackはIaaSを構築するためのソフトウェアコンポーネント群ですが、その機能はLinuxのカーネルと密に連携して動作します。RHEL OpenStack Platformでは、Linuxと、Linuxのカーネルに組み込まれたハイパーバイザの「KVM」とをOpenStackに統合し、一気通貫で提供するものです。

 RHELありきの製品ですから、エンタープライズへの訴求ではRHELのパートナーエコシステムを活用していきます。前述のCCSPパートナーのクラウド上への展開も予定しています。加えて、OpenStackで顧客のプライベートクラウドを構築するための新しいパートナー「OpenStackアライアンスパートナー」を拡大していきます。現在、国内OpenStackアライアンスパートナーは、販売パートナー16社、テクノロジパートナーが12社います。エンタープライズでのRHELへの信頼度が、OpenStack導入拡大のエンジンになるでしょう。

 次に、コンテナの戦略についてお話しします。当社は、RHELとDockerコンテナ、コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」を統合したPaaS基盤ソフト「OpenShift Enterprise」「Red Hat Atomic Enterprise Platform」や、OpenShift Enterpriseのマネージドサービスである「OpenShift Dedicated」を提供しています。

 こちらもRHELありきの製品ですから、RHELのエコシステムを活用して訴求し、CCSPパートナーのクラウド上への展開も進めていきます(編集部追記:1月25日からAWSの東京リージョンでOpenShift Dedicatedの提供を開始した。またGoogleは米国時間1月21日に、Google Cloud Platform上でOpenShift Dedicatedを提供する予定であることを発表している)。

 また、国内でのコンテナテクノロジの普及のための取り組みとして、コンテナ技術者の育成にも力を入れています。パートナー企業向けのトレーニングコースを拡充し、2016年中に国内のコンテナ技術者を300人体制にすることを目指します。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]