本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、レッドハットの望月弘一 代表取締役社長と、PwCあらた監査法人の岸泰弘 パートナーの発言を紹介する。
「オープンソースの技術はイノベーションをけん引するものに変わってきた」 (レッドハット 望月弘一 代表取締役社長)
レッドハットの望月弘一代表取締役社長
レッドハットが先ごろ、11月26日付けで代表取締役社長に望月弘一氏が就任したのに伴い、新社長の抱負および同社の今後の事業戦略について記者会見を開いた。望月氏の冒頭の発言はその会見で、同社の事業基盤であるオープンソース技術の役割が、これまでは古い技術の代替用途だったものから、ビジネスイノベーションをけん引するものに変化してきたことを強調した形だ。
望月氏はその理由として、新たなビジネスモデルで急成長を遂げているグローバル企業の多くがオープンソース技術を採用していることや、グローバルでのオープンソースプロジェクトの数がこの8年間で10倍に膨らんだことなどを挙げた。
では、そのオープンソース技術を基盤とするレッドハットは、今後の事業戦略をどう描いているのか。望月氏は「これまでと同様、今後もRed Hat Enterprise Linux(RHEL)とコンテナ技術をコアコンピタンスとして、その上でクラウド、ITマネジメント、アプリケーションプラットフォームの3つを柱に事業展開していく。それによって、顧客のビジネスイノベーションに貢献していきたい」と説明した。
レッドハットの事業戦略
また、そうした事業戦略を展開することによって、「柔軟、迅速、革新的なIT環境の構築」「次世代ITマネジメント&自動化」「業務をより効率的に、柔軟に」「革新的なビジネスモデルの実行支援」といった4つの顧客価値を提供していきたいとも語った。
そのうえで、「現在、国内のIT市場における年間成長率は1~2%程度と言われているが、当社の事業領域はより高い成長を見込めるので、今後3年間で売上高を倍増するくらいの意気込みで挑みたい」と、日本法人としての事業目標に言及した。